対ドルでウォン相場がこの1カ月で80ウォン以上値を下げ1ドル=1400ウォン水準突破を目前にしている。新たな変数が現れ来月の基準金利決定を控えた韓国銀行の計算も複雑になっている。
ソウル外国為替市場によると、ウォン相場は25日午後3時30分の終値基準で1ドル=1388.70ウォンとなった。これは7月3日の1390.60ウォン以来のウォン安水準だ。9月30日の1307.8ウォンと比較すると80.90ウォンのウォン安となる。市場ではいわゆる心理的抵抗線である1400ウォンを超えるかもしれないとの見通しも出ている。ウォン相場は4月16日に取引時間中1400ウォンを超え、外為当局の口先介入により追加下落が制限されたことがある。
最近ウォン相場が急激に落ちたのは米国の景気軟着陸の可能性により米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ速度が遅くなると見込まれるためだ。9月の雇用報告書などに現れた雇用指標が堅固で消費も冷めない様相を見せている。米ミシガン大学が25日に発表した10月の消費者心理指数は6カ月ぶりの高水準に改善された。
ここにトランプ前大統領当選の可能性が高まったことも一役買っている。市場は「トランプ2期」が現実化する場合、財政赤字が大きくなり国債利回りが上がるとみている。物価上昇圧力も大きくなり、利下げがさらに先送りされる可能性もある。これはドル高をあおる要素だ。米国の超党派的非営利機関「責任ある連邦予算委員会」(CRFB)の分析によると、トランプ前大統領の税金減免などの公約は今後10年間に米国の財政赤字を7兆5000億ドル増やすと予想される。
最近のウォン相場の下落幅は他の主要国通貨と比較しても目立つ。今月1~25日のウォンの下げ幅は5.21%で、日本円の4.92%、オーストラリアドルの4.35%、英ポンドの3.07%、ユーロの2.87%、カナダドルの2.45%、スイスフランの2.21%、中国元の1.52%、台湾ドルの0.69%より大きい。これは国内景気鈍化懸念が加わった影響も大きい。7-9月期の国内総生産(GDP)増加率は前四半期比0.1%で、韓国銀行見通しの0.5%を大きく下回った。経済を支えた輸出が後退したためだ。
iM証券のパク・サンヒョン研究員は「トランプ氏の当選時にウォン相場がまた1400ウォンを突破する可能性が大きい」と分析した。市場では年末に近付くほどウォン相場が再び安定するとみているが、トランプ前大統領の政策により変動性が大きくなる可能性を看過するのは難しい。
韓国銀行の苦心も深まっている。内需回復傾向が遅い点などは追加利下げの必要性を拡大する要素だが、為替相場と家計負債などを考慮すると利下げを断行するのは容易でないためだ。為替相場が不安な状況で基準金利がさらに低くなればウォン相場は対ドルでさらに下がる可能性が大きい。
韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は25日、「ドルはいまわれわれが望む水準を上回っており、ドル上昇の速度も早い。10月の金融通貨委員会では考慮要因でなかった為替相場が再び考慮要因に入ってきた」と話した。その上で「来月の金融通貨委員会では、輸出増加率鈍化傾向が来年の成長率に及ぼす影響、マクロ健全性政策の金融安定効果、米大統領選挙後のドル高持続の有無などを総合的に判断する」と明らかにした。
2024/10/28 06:47
https://japanese.joins.com/JArticle/325446