尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、中国の習近平国家主席との会談で韓中協力を強調したのに続き、18日(現地時間)には「韓国にとって米国と中国はどちらかを選択しなければならないという問題ではない」と述べた。米国のドナルド・トランプ政権の帰還を控えて国際情勢の不確実性が高まる中、「中国役割論」を強調したかたちだ。尹錫悦政権が韓米、韓日中心の「価値観外交」から脱し、実用外交への転換を図っていることを示すシグナルなのかに関心が集まっている。
主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するためブラジルのリオデジャネイロを訪れた尹大統領はこの日、ブラジルメディアとのインタビューで、「韓国にとって米国と中国はどちらかを選択しなければならないという問題ではない」とし、「韓国は米中両国と緊密に協力していく」と述べた。大統領は15日のペルーでの習近平主席との2年ぶりの首脳会談でも、「中国は韓国が安保、経済、文化人的交流の3つの分野で緊密に協力している重要な国家」だとして、「戦略的協力パートナーシップを、内実を伴って発展させていくことを期待する」と述べている。
このところ大統領室がウクライナに対する兵器支援に以前より慎重な姿勢を示すとともに、ロシアとの外交的解決を強調していることも、注目すべき部分だ。大統領室の高位関係者はこの日、ウクライナ支援問題について「ウクライナが自らを防衛しうる防御能力を持たせるために補充してやることも必要だ」と述べた。この関係者は、「防衛能力補充」とはウクライナに対する兵器支援を意味するのかと問われ、「ウクライナ特使団をまず受け入れて話を聞いてみなければならない」として、再考の余地を残した。この関係者は、トランプ第2期政権の発足後に持ち上がることが予想されるウクライナ終戦問題についても、「駐ロシア大使館がロシア政府と必要な話を随時している」と語った。
大統領室のこのような態度は、「米国第一主義」を掲げるトランプ第2期発足を控え、これまで標榜してきた価値観外交から脱皮し、均衡・実用外交への基調の転換を図っていることを示すシグナルだと解釈しうる。ただし韓米、韓米日協力にすべてを賭けてきた外交安保の司令塔がそのままになっている中で、「防衛的変化シグナル」にとどまらず意味ある戦略的転換へと踏み出せるかは未知数だ、との指摘もある。大統領室の高位関係者はこれについて、「この2年半の間、国益を重視する韓国の戦略は一度も変化したことがない」とし、「中国との関係も、我々がなしうる限り互恵的に、互いに韓中関係を発展させ続けるために努力してきた」と強調した。
多くの専門家は、尹大統領の「訪中」が今後の外交基調の変化を計る試金石になるとして注目している。尹大統領と習主席は今回の韓中首脳会談で訪韓と訪中を要請し合っているが、習主席は来年下半期に慶州(キョンジュ)で行われるAPEC首脳会議に出席するために訪韓すると予想される。
カギとなるのは尹大統領の訪中時期だ。保守層を中心として、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が訪中しただけに、「儀典」に合わせて尹大統領は習主席の訪韓後に訪中すべきだと主張している。光云大学のシン・ボンソプ教授(元瀋陽総領事)は、「今のような不安定な時期においては、中国とプライド争いをすべきではない」とし、「尹大統領が果敢に来年初めに訪中し、北朝鮮問題や経済などの韓国にとって必要な懸案を解決し、習主席が返礼訪問のかたちで訪韓してこそ、韓国は外交・安保でより大きな成果を上げることができる」と強調した。
2024/11/19 19:11
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