3日に「非常戒厳」を宣布した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を批判・風刺する各種「インターネットミーム」(Internet meme=ネットの流行コンテンツ)が話題を集めている。戒厳宣布直後、複数のネット・コミュニティー・サイトには、尹大統領が今年10月にソウル市竜山区の韓国大統領室で与党・国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)代表と鄭鎮碩(チョン・ジンソク)大統領秘書室長を座らせ、硬い表情をしている写真が掲載された。これには「私が昨日、2次会の終わった後に何を宣布したって?」という字幕がついている。尹大統領が飲酒している以前の動画に「え? 私が非常戒厳を宣布したって?」という字幕を入れたネットミームもあった。
尹大統領と金建希(キム・ゴンヒ)夫人が海外訪問時に大統領専用機で撮った写真に「私は愛のために○○までした」と書き込み、○○を当てさせる質問をして、その答えを「戒厳」と入れたネットミームも話題だ。あるネット・コミュニティー・サイトには「愛のために戒厳まで宣布する真の聖者・尹錫悦」「愛妻家ではなく、希代の『愛狂い』」などのネットミームもあった。
1979年12月12日に発生した「12・12事態」(全斗煥〈チョン・ドゥファン〉陸軍少将〈当時〉らによる粛軍クーデター)を描いた韓国映画『ソウルの春(韓国語:ソウレ ボム)』のポスターに、尹大統領の顔を合成した「酔ったみたいだ(同:チュイヘンナ ボム)」などのネットミームも拡散された。全斗煥元大統領が窓の外を眺めながら「それ(戒厳令)はそんなふうにやるものじゃないのに…」と言っているネットミームや、尹大統領と朴槿恵(パク・クンヘ)元大統領が向かい合って座った写真に「私も(戒厳は)考えるだけにとどめた」と書き込んだものもあった。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が眉をひそめる写真に「今、一番驚いている人」と書き込んだり、米国のバイデン大統領が驚いている表情と共に「国会で(戒厳令を)承認してくれなかったら赤っ恥だが、どうしよう」という字幕を入れたりしたネットミームもあった。
また、2022年の「尹大統領発言字幕問題」(MBC放送が尹大統領の訪米時の発言に異なる字幕を付けた問題)時、金恩慧(キム・ウンヘ)広報首席秘書官の写真に「もう一度聞いてみてください。『戒厳宣布』ではなく『改憲宣布』です」という字幕を入れたものもあった。
尹大統領を題材にした風刺は、海外メディアや海外ネットユーザーの間でも話題を集めている。中国国営の新華社通信は4日、戒厳問題を報道した際、「愛する女のために全世界の敵になることを宣言するのは、映画や小説でのことだけだとは思わないように」と述べた。
非常戒厳に関するネットミームは海外でも作られている。非常戒厳宣布直後、米国のあるコミュニティーサイトには「地球で最も速いもの(The Fastest Things on Earth)」という投稿があった。これは「チーターや飛行機、さらに光の速さよりも『韓国の戒厳令』の方が速い」という意味の風刺だ。これには太極旗(韓国国旗)と大統領旗をバックに、非常戒厳を宣布する尹大統領の姿が重ねられている。
日本のヤフーなどのポータルサイトには、尹大統領の非常戒厳宣布に関する記事の下に「韓国のイメルダ・マルコスである金建希夫人のために大統領職を放棄するというばくちに出た」「久しぶりに日韓関係を改善させた大統領だったのに、残念だ」などのコメントが寄せられている。
ソウルのある大学の教授は「現在の状況は、内乱罪の捜査につながるほど衝撃的で緊迫したものであるのは事実だが、このようなネットミームが人気を得ているのは、それだけ韓国の民主主義がしっかりしているという証拠だ」「非常戒厳を宣布できる権力者でも、民衆の風刺とユーモアの対象の例外にはなり得ないことを示している」と語った。
安重顕(アン・ジュンヒョン)記者、チャン・ユン記者、ク・アモ記者
2024/12/09 11:15
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/12/09/2024120980021.html