最近東京・銀座の日本式ハンバーグ店を訪れた。日本語メニューと英語メニューの価格が違った。海外からの観光客には、1人当たり500円の着席料を一律上乗せしていた。ハンバーグとコーヒーを注文すると、日本人は1800円、韓国人観光客は2300円だった。東京のあるレストラン関係者は「海外観光客にとっては安すぎる価格ではないか。混雑を避ける代償として、それに見合う価格を支払えと言っているにすぎない」と話した。「安価」狙いの客をシャットアウトするため、観光客から追加料金を取るという意味だ。
長期にわたって続いたインフレに最近の円安も重なり、日本人の間では最近「安い日本」という言葉がよく使われている。円がドル・ユーロなど基軸通貨をはじめ、ウォン、人民元、インドルピーなど他通貨に比べ大幅に下落したことで、「安いから」と日本を訪れる観光客が増えたことを自嘲ぎみに指す言葉だ。経団連の十倉雅和会長は最近のインタビューで、「日本の国力を示す指標が為替レートだが、日本はこれほど『安い日本』ではないのではないか。現在の円安は行き過ぎだ」と述べた。
低予算の観光客が円高による「安さ」を楽しむために日本に押し寄せ、オーバーツーリズム(観光公害)問題を引き起こすとの指摘も日本のメディアに頻繁に登場している。3月には308万人の外国人観光客が日本を訪れ、過去最多を記録したが、日本の世論が冷ややかなのもそのためだ。外国人観光客の訪日理由が「魅力的な国」だからではなく、「安く楽しめる国」なのでは困るという指摘も出ている。「安い日本」を求めて訪れた観光客は消費額が相対的に少なく、日本経済に対する寄与も少ない。
日本経済新聞は物価が上がりにくい状況に円安が重なり始めた昨年、「安い日本」の実情を示すため、日本の庶民料理であるラーメンの国別価格を比較しした。日本の平均的なラーメン価格(880円)は、米ニューヨーク(21.50ドル、当時の為替レートで3100円)の3分の1にも満たなかった。今年は円が一段安となったため、米国人が体感する日本のラーメン価格はさらに安くなった。1人当たり国内総生産(GDP)が日本の10分の1にも満たないインドのラーメン価格(ムンバイ、1016ルピー、1800円)も日本の2倍を超えた。日経は過去20~30年間、物価と賃金がいずれも上がらない状況を日本人が低物価で耐えてきた結果、「安い日本」問題が深刻化したと分析した。さらに、円安が重なり、安く楽しもうとする観光客が急増すると、これを規制するため、大阪のように外国人に観光税を課そうとする地方自治体も増えている。
東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員
2024/05/04 07:20
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