最近発表された中国の今年1-3月期経済成長率は市場予想値(4.6~4.8%)を超える5.3%を記録した。しかしこのような指標とは違い、実質消費心理は極限まで冷え込んだ状況だ。問題は若年層の超格安消費の慢性化が中国の景気浮揚に長期的に障害物になる公算が大きい点だ。
香港大学経営大学院のチョン・ジョウ教授は「格安型消費への転換は一時的な現象ではなく構造的な変化」とし「多くの企業が破産して失業率が増加し、このため『超格安消費』がさらに拡散するという負のスパイラルに陥るだろう」と警告した。香港科学技術大学公共政策研究所のドナルド・ロウ教授はサウスチ・ャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)に「日本の(慢性的デフレ)経験で得た教訓を再確認しなければ現在の中国の景気鈍化の流れは長期化する」としながら「2035年までに中進国経済に飛躍しようとしている習近平国家主席の野望実現も遅れる」と分析した。
◇中国発「超低価格消費」、世界に連鎖作用
このような中国市場の消費萎縮とデフレ圧迫は世界の産業や経済にも少なくない影響を及ぼしている。「ブランド界の上客」という牙城と違い、足元では中国若年層の超格安消費の拡散で高級ブランドは苦戦を免れなくなっている。グッチ・バレンシアなどを抱えるケリング・グループの今年1~3月のアジア・太平洋地域の売上は前年同期比約20%減少した。
中国ラグジュアリーブランド市場に特化した専門メディア「Jing Daily」のJulienna Law編集長はNIKKEI ASIAに「高級ブランドの中国市場に対する戦略修正が避けられなくなった」とし「2022年高級時計ブランド『オメガ』と中低価格ブランド『スウォッチ』の協業事例のように費用に敏感になった中国若年層に合わせてコストパフォーマンスを重視した製品を出す流れが続くだろう」と予想した。
中国の「デフレ輸出」も問題だ。中国の内需消費が低迷を続けて在庫が爆発的に増え、自国製品を安値に海外に輸出して販売している。値段が安くなれば表面的には消費者が得しているように見えるが、長期的に産業そのものを崩壊させる原因になる恐れがある。特に安値の中国商品を輸入した国々が自国内の物価下落で景気回復が鈍くなるデフレに、時差を置いて陥る懸念もある。
2024/05/06 08:34
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