第2次トランプ政権が半導体補助金の全面的な再検討を予告したことで、米国に大規模な投資を断行した韓国企業の不確実性が高まっている。米国との首脳会談に乗り出した日本とは違い、国内政局の混乱が長期化し、通商圧力の波への対応に手詰まりになる可能性があるという懸念も強い。
第2次トランプ政権の産業・貿易政策を主導するハワード・ラトニック次期米商務長官は29日(現地時間)に開かれた連邦議会上院の人事聴聞会で、ジョー・バイデン前政権期に新設された半導体とバッテリーへの補助金を再検討することを明らかにした。この日、ラトニック次期商務長官は、バイデン政権が締結した「半導体および科学法」(CHIPS法)上の補助金支給契約について、「私が読んでいないものを守れるとは言えない」と述べた。前政権期に商務省が企業と結んだ補助金支給の覚書の印章が乾く前に、契約書を再検討すると言い出したのだ。
ラトニック次期商務長官は、半導体補助金は米国の半導体製造の復活のための「素晴らしい契約金」だとしながらも、「検討を経て、正しくなされなければならないと考える」と強調した。また、ラトニック次期商務長官は、バイデン政権が「インフレ抑制法」(IRA)で実施したリース用電気自動車(EV)の補助金政策に狙いをつけ、「それを終わらせなければならない」と強調した。現在、リースなどの商業用EVは、北米での最終組立てなど、IRAの要件とは関係なく補助金を受け取れるが、これを撤廃する意向を表明したのだ。
合計で527億ドル(約8兆1000億円)規模になる米国の半導体補助金の支援対象には、サムスン電子やSKハイニックスが含まれている。テキサス州テイラー市に最先端半導体工場を建設するサムスン電子は、トランプ政権発足前の昨年12月、直接補助金を最大で47億4500万ドル(約7300億円)支給される契約を米商務省と結んだ。ハイニックスも4億5800万ドル(約710億円)の補助金が確定している。
しかし、トランプ政権の補助金再検討の方針によって、現地投資の不確実性が高まった。リース用EVの利用者に支給される補助金も同様に、米国現地のEV工場が稼働する前の現代自動車が主な受益対象として挙げられた。
ラトニック次期商務長官は「われわれは、グローバル貿易環境でひどい待遇を受けている」として、中国だけでなく、欧州、カナダ、日本、韓国などの同盟国も自国の経済成長のために「米国を利用している」と主張した。米国第一主義を前面に出した関税引き上げの対象には、韓国の家電企業などの同盟国も例外ではないということだ。
対外経済政策研究院のキム・ジョンドク貿易通商安全保障室長は「トランプ政権の関税賦課による米国現地での生産圧力や雇用増加など、政策の方向が明確になった」としたうえで、「トランプ政権は、補助金支給の代わりに法人税を引き下げる方針であるため、直接補助金を受ける韓国企業も、政策の基本方針の変化に注視しなければならない状況にある」と述べた。
2025/01/30 22:46
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/52296.html