【コラム】100兆ウォン潜水艦市場、韓国企業・政府「ワンチーム」を

投稿者: | 2025年2月22日

昨年、カナダ政府は最大12隻の通常動力型潜水艦を導入するという「カナダ哨戒潜水艦計画(CPSP)」を発表した。最大20兆ウォン(約2兆円)の事業だ。導入後30年間の維持・保守・運営(MRO)費用まで合わせると、その規模は40兆-60兆ウォンに増える。我々が受注すれば過去最大の防衛関連の輸出となる。

カナダ海軍が出した優先条件は極地作戦能力だ。カナダが新型潜水艦を送り出す海は北極海だ。CPSPは本来、ロシアと中国に対抗して北極圏を防御する目的で起案された。カナダが望む潜水艦は、有事の際、北極の氷を突き抜けて緊急浮上ができなければならないが、そのためには排水量が少なくとも3000トンはなければいけない。全世界で3000トン級の通常動力型潜水艦を持つ国は韓国と日本しかない。

 ところが日本は昨年入札を放棄した。自国の潜水艦注文量をかろうじて消化する力量であり、輸出は不可能と判断したとみられる。ところが韓国潜水艦のカナダ輸出航路に暗礁が表れた。ドイツ防衛産業のティッセンクルップ・マリン・システムズ(tkMS)がドイツ政府と軍当局の大規模な支援射撃を受けながらだ。

ドイツの主導で昨年7月にドイツ・カナダ・ノルウェー3カ国首脳間の海洋安保パートナーシップが締結された。ドイツ政府の閣僚は最近、CPSPと少しでも関係があるカナダの閣僚と会っている。ドイツとカナダはNATO(北大西洋条約機構)の同盟国だが、ドイツ海軍がカナダ海軍に会えば自国の潜水艦を誇るという。ドイツは契約さえすれば自国の海軍よりカナダの海軍に潜水艦を優先して引き渡すと明らかにした。

ドイツはカナダと生命工学・気候変動・クリーンエネルギー分野共同研究のための了解覚書(MOU)も締結した。ITB(=Industrial Technology Benefit)の布石だ。カナダはカナダに武器を売る国が反対給付としてカナダに経済的価値を創出するべきというITB政策を運用している。tkMSもカナダの受注に備えて生産能力を拡大している。

このようにドイツ企業・政府・軍の三角編隊が韓国を急速に追い上げている。では、韓国の事情はどうか。昨年12月3日の非常戒厳令事態以降、総力受注戦を指揮する指令塔が見えない。

防衛関連輸出は基本的にG(政府)toG(政府)事業だ。武器取引に政治的な影響力が重要であり、借款提供が時には必要となる。訓練と運用で輸出国の軍当局の支援も受けなければいけない。このため首脳級の外交で防衛産業輸出の枠ができることが多く、閣僚級の対話で細部内容が決まるのが慣例だ。ところが今の韓国は大統領「権限代行の権限代行」と国防部長官職務代理体制であり、ドイツより不利な状況だ。

さらに国内2大造船業のHD現代重工業とハンファオーシャンがCPSPをめぐり激しく競争している。両社はお互いをよく知っている。そのためかカナダ関係者に対して相手の会社をけなしているという話も聞こえる。このままでは機会が失うことも考えられる。

カナダが2028年にCPSPの事業者を最終選定すればすべて終わるわけではない。ポーランドとフィリピンも潜水艦導入事業を推進している。イスラエルメディアのイスラエルディフェンスによると、サウジアラビアも潜水艦を検討している。すべて合わせると、100兆ウォンを超える市場が開かれるということだ。今のように政府が放置して企業が個別に動けば100兆ウォンの市場は絵に描いた餅となる。

韓国防衛産業で相対的に遅れをとっている分野が軍艦だ。ドイツ・フランスが先に獲得した世界海洋防衛産業市場に韓国の軍艦が名刺を出し始めたところだ。それでCPSPが重要だ。

CPSPで土台を築いた後、韓国の艦艇は米国市場で飛躍することができる。船を印刷するように建造する中国海軍の挑戦を退けるには韓国の支援が切実であるのが米国の現実だ。

◆カナダを経て米国市場へ

米議会は自国建造の原則をあきらめる準備をしている。法案の草案によると、米海軍や海洋警備隊は同盟国の造船所に限り発注することができる。米国の同盟国のうち韓国だけが生産能力に余裕あり、価格競争力が優れ、納期を徹底的に遵守できる。同じイージス駆逐艦の建造でも、韓国は米国の3分の1の期間で可能であり、価格は半分だ。

韓国造船業界は最近、「スーパーサイクル」の好況を迎えている。3年分の仕事があるという。ところが造船業は船舶の買い替え周期に合わせて好況と不況が周期的に繰り返される。韓国軍艦が今後3-5年間活発になれば、韓国造船業界は造船景気の不況も恐れなくて済む。

幸い、遅くなったが政府と企業が力を合わせて「ワンチーム(One Team)」を構成しようと努力している。

4日、庾竜源(ユ・ヨンウォン)国民の力議員が開いた討論会で、チュ・ウォンホHD現代重工業特殊船事業部代表は「協力関係をうまく築いて準備を進めていくべきだ。ワンチームが必ず構築されなければいけない」と述べた。ハンファオーシャンのオ・ソンチョル特殊船事業部長(社長)も「互いの利益を譲歩するのは難しそうだが、うまく克服し、市場を逃して後悔することがないようにしたい」と話した。近く防衛事業庁の仲裁で両社が輸出で協力するという内容の協約を結ぶ計画だ。原則に合意したとしても先はまだ長い。法的に解決する問題も多く、「化学的結合」が最も急がれる。両社が韓国型次期駆逐艦(KDDX)事業で争いながら感情の溝が深まったからだ。

政府は手を後ろに組んでいてはいけない。企業ワンチームと「チームコリア(Team Korea)」という一つの船に乗ることが求められる。代行と職務代理が動き、他の部処長官たちが力を合わせ、国会も参加しなければいけない。全国家的な努力をしてもCPSPの勝負は分からない状況だ。

団結すれば生きて、分裂すれば死ぬ。心に刻んでおこう。

イ・チョルジェ/軍事安保研究所長/国防記?

2025/02/21 15:53
https://japanese.joins.com/JArticle/330226

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