ユーチューブで偶然興味深い動画を目にした。米国の大学バスケットボールの試合でフリースローを得た選手がボールを投げる直前、相手チームのチアリーダーたちがゴールの下に並んでセクシーなダンスを踊った。ゴールの後ろ側に座っていた相手チーム応援団もシマウマ模様の大きい横断幕を揺らした。これらの妨害のためかシュートは外れた。このチームのフリースロー成功率は通常は80%らしいが、この試合では60%ほどだった。しかし審判は反則の笛を吹かなかった。ルールで禁止されたわけでもなく、単なる応援の一部と認識されているようだ。
ただし人格の冒涜(ぼうとく)、身体的な脅威、人種差別的な言葉で応援した場合は問題になる。2006年にイタリアでのサッカーの試合でアフリカ出身の黒人選手がボールに触れるたびに相手チームのサポーターから「猿」などと大声で罵倒された。今そんなことをすれば厳しい処分が下されるだろう。国際サッカー連盟(FIFA)は02年から人種差別的な行為を処罰し、19年からは2万ドル(約300万円)の罰金、無観客試合、勝点の減点、大会からの排除など非常に厳しい処分を下している。
今月11日に中国で開催されたサッカーの試合で光州FCと対戦した中国チームの一部サポーターが韓国の故・全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領の写真を手にしたところ制止を受けた。隣国の悲劇を利用し相手チームの選手を刺激する目的があったとみられる。この種の非常識な応援は今回が初めてではない。一昨年行われた2026北中米ワールドカップ・アジア予選の韓国と中国との試合では中国の一部サポーターがソン・フンミン選手と李康仁(イ・ガンイン)選手の顔にレーザーポインターを当てた。レーザーの光は選手の視力を低下させる恐れがあるため非常に危険な行為だ。
韓国の一部サポーターからは「こちらも中国の天安門事件当時の戦車の写真を使って応援しよう」といった強い反発の声が出た。しかし韓国でもこの種の応援が行われたケースは決して少なくない。そのためむしろ応援の文化を反省するきっかけにすべきとの声もある。日本は2011年の東日本巨大地震で大きな苦しみを味わったが、同年秋に韓国で行われたサッカー韓日戦では韓国のサポーターが「日本の大地震をお祝いします」と書かれたポスターを掲示した。
10年前にはスペインで活躍していたサッカーの黒人選手が観客席からバナナを投げ込まれるという侮辱を受けた。これに対してこの選手は特に反応せず落ち着いてバナナを食べ、再び試合に望んだ。チームの仲間たちもSNS(交流サイト)にこの選手がバナナを持つ様子を撮影した写真を掲載し、品位を持って抗議した。応援は選手にとってもサポーターにとってもプラスになる。声援は選手の男性ホルモンの数値を70%も引き上げ、試合をよりダイナミックなものにするという。ただしレベルの低い応援でこういった良い効果が得られることはない。応援にも正々堂々と相手と競争するフェアプレーの精神が必要だ。
金泰勲(キム・テフン)論説委員
2025/02/22 14:05
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