「核放棄なら安全保障? そのウクライナを捨てた米国…北朝鮮は目撃した」 [ウクライナ戦争3年-特別対談]

投稿者: | 2025年2月24日

2022年2月24日のロシアによる侵攻で始まったウクライナ戦争が3年経過して急ブレーキを踏んでいる。トランプ米大統領が予告したように終戦交渉の序幕が上がったからだ。米国はウクライナと欧州を排除してロシアと談判し、終戦に向けて進んでいる。

弾劾政局の中でこれを見守る韓国の不安も深まっている。その間、朝ロが軍事同盟レベルの協定を結んだのに続き、1万人以上の北朝鮮軍がウクライナの戦場に投入されるなど、遠い国の話と思っていた戦争の現実が韓半島(朝鮮半島)情勢にも多大な影響を及ぼしているからだ。米国の利益にならないという理由で薄情に捨てられるウクライナの運命も他人事ではなくなった。

 トランプ政権2期目が構想する新しい世界秩序はどんな姿なのか。ウクライナ戦争は韓半島情勢にどんな影響を残したのか。外交リーダーシップの空白状況で韓国に残された選択肢は何か。権奇昌(クォン・ギチャン)元ウクライナ大使(韓国輸入協会常勤副会長)とイ・ジェスン高麗大イルミン国際関係研究院長がこうした高難度の課題について19日、対談を行った。

今回の対談で権元大使は「先端半導体を米国に大量に供給する台湾と違い、ウクライナの戦略的価値を低いとみているため捨てる」とし「我々はトランプ大統領が気に入るような共同利益を提示して国益を確保する必要がある」と述べた。イ院長は「北朝鮮の派兵問題で欧州は韓国を安保パートナーとして認識することになった」とし「孤立してリスクに直面したウクライナを反面教師として、我々は友邦を積極的に見つけなければいけない」と述べた。

–トランプ大統領は世界秩序を新しく再編している。

権氏=トランプは第2次世界大戦以降の自由主義的国際秩序を、同盟国が米国を悪用して利益を得る秩序とみている。強大国が弱小国を統制する19世紀の帝国主義秩序を好むようだ。強大国の権力政治と勢力圏に回帰するものであり、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席が望む秩序だ。

イ氏=事業家のトランプは極度の現実主義と実用主義で世界を眺める。ウクライナ戦争も実益が見えないのに費用を支出しなければいけないという理由で整理しようとする。米国内でもウクライナ支援に反対する意見が急激に増えている。

–トランプのウクライナ戦争終結方式は中国・北朝鮮にどんな信号を送るだろうか。

権氏=ロシアに処罰でなく補償が与えられるのをみて「(台湾を)いくら侵攻してもかまわない」というメッセージを中国に与えた。米国は中国の台湾侵攻の可能性を実際に憂慮する。台湾危機が高まるだろう。さらに恐ろしいのは、北朝鮮がロシアの血盟となり、韓半島有事にもロシアの介入も当然になってしまった点だ。

イ氏=その間、米国は非核化交渉過程で北朝鮮に核放棄の見返りに「安全保障」を提案した。しかし今回の戦争でウクライナが核返納を条件に1994年に米国など西側から受けた安全保障「ブダペスト覚書」が無用になったことが表れた。北朝鮮が悪い先例から学ぶことになったのだ。さらに北朝鮮は派兵で実戦経験まで持つことになった。中国の膨張主義に対する封印も解除された。

ここで「米国がウクライナのように韓国も捨てることがあるだろうか」で尋ねると、対談者は「十分に可能なこと」と口をそろえた。

–韓国は現在、外交リーダーシップが不在状況だ。

イ氏=韓国が予測不可能な国になってしまった。米国はひとまず観望姿勢で眺めている。リーダーシップの真空状態が実質的な被害につながらないようにすることが現在の課題だ。

権氏=不利な条件だ。しかしどう対応するかがさらに重要だ。トランプには韓米同盟の価値よりも利益になるかどうかが重要だ。外交安保、経済通商、技術など多方面でトランプが魅力的に感じる共同の利益を探さなければいけない。

–韓国が前面に出すことができる魅力の要素は。

イ氏=わが国には先端製造業分野の半導体・自動車・造船などがある。特に船舶の建造・修理能力が我々の強みとなる可能性がある。中国を牽制するという米国の立場が強い状況だが、韓国と日本はインド太平洋で米国の艦艇を周期的に修理して点検できる国だ。

権氏=米国が終戦を急ぐのは米国の利益にならない戦争を終わらせ、最優先課題の中国牽制に集中するためだ。中国牽制の側面で韓国は日本・オーストラリア・ニュージーランドとともに重要な資産となる可能性がある。

イ氏=ウクライナの場合、戦争前から政治的不正腐敗、経済的にはオリガルヒ(新興財閥)の富の独占など内部的な問題で国家が脆弱だった。ガバナンスが不安定なら米国は容易に無視したりする。米国に無視されるかどうかは、その国の力量と決起に左右される」

–ウクライナ戦争が韓国に投げかけるメッセージは。

権氏=我々の防衛産業能力や半導体など先端産業能力が高まり、国際的な地位が上昇した。北朝鮮の参戦は欧州の安保と東アジアの安保が直結しているという証拠だ。欧州と我々は同病相憐だ。NATO(北大西洋条約機構)とより一層緊密に協力しなければならない理由でもある。我々がG7(主要7カ国)に入るための大きな外交資産になるだろう。

イ氏=孤立する瞬間に死ぬ。ウクライナの場合は孤立していた。我々は外交的に孤立してはいけない。これまで我々の外交は米国にさえ目を向ければよい構造だったが、それでは逃してしまう部分がある。中ロなどに対しても深い分析力がなければならず、欧州国家も注目しなければいけない。

権氏=韓米同盟だけに頼ることはできない。力が支配する世の中で富国強兵に力を注ぐしかない。ロシアを敵対視する必要はなく、中国との関係も強化しなければいけない。

–欧州から得ることができる教訓は。

イ氏=ロシアと国境が接している欧州国家がある。(NATO加盟国は)米国を通じて安全が保障された。しかし今回の終戦交渉方式をめぐってはこれら国家の失望感が大きい。しかしNATOは米国の核心資産だ。トランプ大統領もNATOを捨てるほど愚かなことはないだろう。この核心資産を費用の側面で再構成しようとするはずだ。

権氏=欧州と米国の亀裂が可視化した。トランプが1期目にNATO脱退に言及した。トランプの関税賦課で欧州と米国の摩擦が通商に拡大すれば、NATOから脱退するという話をまたする可能性もある。

–ウクライナ再建事業に韓国企業の参加は可能だろうか。

権氏=再建に入れば鉄道・道路のような基本インフラはもちろんスマートシティ建設のための先端情報技術(IT)など必要な部分が多い。技術力と資本力がある韓国企業が参加する余地が大きい。強力な競争相手は中国だが、戦争でロシア寄りだったため参加は制限されるだろう。

イ氏=韓国が参加しない理由はない。市場が開かれる前に政府と企業が協力体系をあらかじめうまく構築しておく必要がある。再建事業への参加は実利的な理由もあるが、国際社会で我々の地位を固める契機にもなる。

2025/02/24 13:51
https://japanese.joins.com/JArticle/330289

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