わずか3年前でも日本では「2ナノは無理」という懐疑的な見方が支配的だった。日本の半導体技術は汎用級の40ナノ水準で韓国と中国に遅れをとった状態だったためだった。日本は技術格差を埋めるため海外に目を向けた。2022年5月に当時の岸田文雄首相がバイデン米大統領と次世代半導体開発協力に合意し、ラピダスはIBMと技術提携の道を開いた。会社設立直後にラピダスは米IBMに研究陣を大挙派遣し、2ナノ技術研究に入った。急速に成長しているAI市場を狙った歩みだった。技術陣復帰とともに今年4月のパイロットライン稼動を控え本格的に装備が搬入されると市場はラピダスの速いスピードに驚きを示した。ラピダスは「爆発的なAI需要が起きる中で最先端技術によりエネルギー問題を解決し圧倒的に高まっている情報処理需要に対応していくだろう」と説明した。
ラテン語で「速い」という意味を込めた社名のように、ラピダスはサムスン電子やTSMCと違い半導体製造にかかる時間を半分に減らす「Rapid and Unified Manufacturing Service(RUMS)」を強調した。前工程と後工程、設計ソリューションに至る全過程を連係し、半導体生産に所要する時間を従来の半分に減らすということだ。会社関係者は「AI分野の需要が非常に高まり専用チップを速く作ることが重要なため」としながら半導体製造過程ではやいフィードバックが可能なサービスの競争力を強調することもした。
大規模にウエハーを加工するサムスン電子などとは違い、1回に1枚のウエハーだけ精密に制御するシングルウエハー加工方式を通じてAI時代に合わせた高性能低電力チップをオーダーメード型生産で多品種少量生産するという計画も紹介した。ソフトバンクが米国で推進する大型AIインフラ投資プロジェクトであるスターゲートだけでなく、さまざまなAIスタートアップにも早く適用できるという説明も加えた。大型顧客を先取りした競合会社とは違い隙間市場を「速度」で攻略するという計算だ。これに対し半導体業界関係者は「半導体素材と装備分野で長所を持つ日本の特性をすべて動員し速度戦をするということ。日本の半導体復興への自信を表出したとみる」と分析した。
ラピダスが速いスピードで猛追撃に出たが、本格量産まで可能かは日本国内でも懐疑的な見方が多い。5兆円に達する量産資金調達、安定した顧客確保が可能かということだ。これに対しラピダス関係者は「30~40社に打診している。技術を磨き上げることが最も重要で、そうなれば資金も集まることになるだろう」と強調した。足の甲に落ちた課題はまだある。トランプ政権が予告した半導体関税だ。いわゆる「トランプ関税」で輸出と量産に支障をきたしかねないという見通しに対しラピダスは「IBMなどと国際連係を主軸として多様な事業を進めている」と米国との接点を強調した。同社関係者は「(事業で)とても重要な役割を受け持つ米国企業も多いほど国際的なエコシステムを作って事業をしている。われわれとしては経済産業省などに是正を要請するほかない」と明らかにした。
2025/02/25 09:29
https://japanese.joins.com/JArticle/330327