20日午前、京畿道竜仁(ヨンイン)オーケイミート肉類加工工場。作業台の上の分厚い米国産牛肉がミートスライサーを通過し、一定の厚さに切られた牛肉が次々と出てくる。職員は忙しく肉をトレーに移して包装ラインに送る。
ここでは一日約3トンの米国産牛肉が加工されている。最近は米国産牛肉の需要が急増しているという。オーケイミートの関係者は「5、6年前まで私たちが処理する輸入牛肉のうち米国産の比率は10%にすぎなかった。しかし若い年齢層を中心に人気が高まり、最近は35%水準まで増えた」と説明した。
米国のトランプ政権が連日、韓国に対する貿易赤字に不満を表している。しかし韓国も米国の主要商品を購入している。特に米国産牛肉輸出業者に韓国は逃せない市場に浮上している。今後の対米交渉ではこうした経済パートナーとして役割を強調するべきだという声が出ている。
関税庁によると、韓国は昨年米国から721億3000万ドル(約11兆円)分を輸入した。前年比で1.2%増えた。しかし輸出が大幅(10.4%)に増え、対米貿易黒字幅が拡大した。米国の立場では対韓国貿易赤字が増え、トランプ政権もこれを注目している。在韓米国商工会議所(AMCHAM)のジェームス・キム会長は最近、中央日報のインタビューで「ラトニック米商務長官が深刻な表情で『(韓国の対米)黒字規模から減らさなければいけない』と述べた」と伝えたりもした。
しかし韓国も米国の主要輸出国だ。韓国貿易協会が米商務省人口調査局の輸出入統計を分析した結果、特に米国産牛肉は冷蔵用・冷凍用ともに韓国が最多輸出国だった。昨年の米国冷凍用牛肉の対韓国輸出額は12億ドル。全体輸出の26%を占めた。続いて中国(25.5%)、日本(12%)、台湾(7.6%)、香港(6.8%)の順だった。冷蔵用牛肉輸出額も9億4000万ドル(21.1%)で、メキシコ(19.9%)、日本(19.5%)、カナダ(14.2%)より多い。米国肉類輸出協会によると、韓国は2021から4年連続で米国産牛肉(精肉基準)輸出量1位となっている。
米国産原油の輸出もオランダに次いで韓国が2番目に多い。昨年米国から137億9000万ドル分が韓国に入った。特に前年比で14.4%増えるなど規模も拡大している。米国産天然ガスの輸出は41億9000万ドルで全体で5番目に多い。トランプ政権がエネルギー輸入拡大を要求しているだけに今年はさらに増える可能性が高い。
このほか半導体装備(1位)、測定装備(2位)、チーズ(2位)、豚肉(3位)、加工食品(3位)、炭化水素(3位)、航空機部品(3位)など多くの品目で韓国は米国の上位輸出国だ。輸出入統計に反映されないが、アップル、グーグル、テスラ、ネットフリックスなど主要米国企業の商品・サービスに対する需要も増えている点を考慮すると、米国としても韓国は無視できない市場だ。
今後トランプ政権との本格的な交渉テーブルでもこうした事実を印象付けることが重要だという提言が出ている。トランプ政権1期目も韓国経済団体が訪米し、対米投資だけでなく米国産商品の輸入が多いという事実を強調した。貿易協会国際貿易通商研究院のチャン・サンシク院長は「韓国も米国経済に大きく寄与する輸出国という事実を強調する必要がある」とし「もちろん米国は『それで今後は何ができるのか』と尋ねてくるだけに、過去の実績に何を上乗せして提示するのか、ストーリーをうまく作らなければいけない」と話した。
2025/02/28 09:32
https://japanese.joins.com/JArticle/330512