◇中国BYDの新車への補助金策定遅延、平沢港に1000台留め置き
ただ、後方産業のコスト上昇と報復関税リスクは懸念される点だ。韓国貿易協会国際貿易通商研究院のチャン・サンシク院長は「造船と自動車など鉄鋼を使う後方産業ではコスト負担が大きくなる恐れがあり、反ダンピング相手国が報復関税を課すかもしれない。中国の鉄鋼ダンピングは世界が認めておりリスク負担は少ないが、日本は韓国から大量の鉄鋼を輸入しているため日本製熱延鋼板がダンピングに指定されれば紛争のリスクが大きい」と話した。
中国の電気自動車メーカーBYDも韓国攻略計画で伏兵に出会った。韓国政府によりBYDの車への補助金策定が遅れている上に、大量購入先として注目されたタクシー会社やレンタカー業者まで購入に難色を示しているためだ。BYDコリアは先月26日に準中型電気自動車「アット3」の電気自動車補助金算定に向けた車両基礎情報を韓国環境部に提出した。この情報に基づいて環境部は補助金額を算定する。基礎情報提出から通常は1カ月後に補助金が策定される点を考慮すれば、アット3の補助金確定時期は3月末~4月初めになりそうだ。1月16日のアット3発売当時、BYDコリアは「2月中旬には車を引き渡せるだろう」と消費者に伝えたが1カ月以上遅れていることになる。現在平沢(ピョンテク)港には1月に中国から貨物船で運ばれ輸入されたアット3の新車1000台以上がそのまま置かれている。
こうした遅延事態は今年から強化された韓国の補助金支給基準をアット3がクリアできないことによるところが大きい。アット3は、保険要件はクリアしたが、バッテリー充電量情報を充電器に伝達する機能をまだ反映できていない。代わりにBYDコリアは最近環境部に「ソフトウエアアップデートを通じて1年以内にその機能を搭載する」という確約書を提出した。国民大学自動車運送デザイン学科のクォン・ヨンジュ教授は「親環境、安全規制を契機に『自動車民族主義』が始まったもの」と説明した。
一方、韓国から米国に輸出するすべてのアルミニウム撚線・ケーブルに対し米国政府が反ダンピング関税52.79%、相殺関税33.44%を課した。米商務省は1月27日に韓国の金属企業が中国の対米迂回輸出ルートの役割をしたと判断して国単位の措置を下した。商務省の調査が始まった2023年10月以降の輸出品から関税が遡及適用される。第2次トランプ政権発足後に韓国企業を対象に貿易制裁を正式に発動した初めての事例だ。ただ今回の措置に影響を受けるのは1社だけだ。
財界関係者は「国単位措置とは今後韓国で新たに米国に撚線・ケーブルを輸出する企業もまず関税賦課対象になるということを意味する。今後関税免除を受けるためには中国製原材料を使っていないことを証明しなければならない」と話した。
2025/03/02 13:25
https://japanese.joins.com/JArticle/330563