「窮余の一策」で登場した中国の無人機空母(後編)

投稿者: | 2025年3月3日

■「VTOL機の代わりに無人戦闘機」

 中国の国営メディアや香港の星島日報などは、中国が19年の建国70周年軍事パレードで公開したGJ11無人戦闘機が四川に搭載されるであろうことを示唆しました。この無人戦闘機の正確な諸元は公開されていませんが、中国国内では「速度は最高でマッハ0.95、航続距離は4000キロに達する」という主張が出ています。米国が開発中の「XQ58Aバルキリー」無人戦闘機のように、人工知能(AI)パイロットが戦闘機を操ることを目標に開発中だそうです。

 中国の軍事評論家・宋忠平氏は、米国のラジオ放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」とのインタビューで、VTOL技術開発の難しさを認めました。彼は「VTOL戦闘機の開発に足を取られることなく、そもそも迂回(うかい)して先回りするために電磁式カタパルトを持つ四川を開発した」とし「カタパルトを使用すれば、固定翼無人機の搭載重量を増やし、作戦半径を広げることができる」と語りました。

 これについて、台湾・淡江大学整合戦略与科技研究中心(CAT)のヤン・タイウィアン研究員は「米国と日本はいずれも強襲揚陸艦に戦闘機を配備し、空母に準ずる運用をしている」としつつ「短期間でVTOL技術を確保するのは難しいので、ヘリコプターと無人機などを配備するというものだが、他国を追い越したとは見なし難い」と指摘しました。米国のアメリカ級強襲揚陸艦をまねて四川を作りはしたものの、VTOL機を確保できていないので無人機空母だと言い逃れをしている、というわけです。

 米国は2隻のアメリカ級強襲揚陸艦を保有していますが、このうち1番艦のアメリカ(LHA6)は日本に配備されています。有事の際にはF35B戦闘機20機以上を搭載し、事実上の空母としての役割を果たします。また、もう1隻のトリポリはサンディエゴ海軍基地におり、随時、必要な地域に移動配備されます。3番艦の「ブーゲンビル」は今年中に就役する予定です。

 アメリカ級より1世代前のワスプ級強襲揚陸艦は、計7隻あります。満載排水量4万1150トンのワスプ級揚陸艦は、もともとはハリアー戦闘機を搭載していましたが、今ではF35Bの搭載が可能なように性能改善が施されたといい、10機以上のF35Bを搭載します。ワスプ級強襲揚陸艦も、必要に応じて随時、北東アジア地域に配備されます。昨年、イランがイスラエルを攻撃する可能性に備えて北東アジア地域にいた米空母が中東地域に急派されると、ワスプ級強襲揚陸艦「ボクサー」が西太平洋に入り、空母の役割を代行したことがあります。

 VTOL機のF35Bの武装搭載量は6.8トンで、陸上運用のF35A、空母艦載機のF35Cよりも2-3トン少ないそうです。米国は、開発中のバルキリー無人戦闘機が実戦配備されれば、バルキリーがF35Bの武装搭載量の不足分を補完できるとみています。

2025/03/03 07:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/02/24/2025022480006.html

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