この1カ月間にトランプ米大統領が各国に掲げた「関税タイムテーブル」がせわしなく動いている。一部は4日から実際の関税賦課に入る。4月の施行を予告した相互関税は韓国も例外でないかもしれない。残り期間で最大限国益を増やせるよう「取引の技術」が必要だ。
ラトニック米商務長官は2日、フォックスニュースとのインタビューで「4日からカナダとメキシコに25%の関税を課す。関税率が正確にいくらになるかは大統領と彼のチームが交渉するだろう」と話した。彼は中国に対しても「同日から10%の追加関税を課す」と付け加えた。韓国貿易協会国際貿易通商研究院のチャン・サンシク院長は「トランプ大統領の圧迫が単純な脅しではなかったことを意味する関税戦争の信号弾」と分析した。
第2次トランプ政権の最初の1カ月は関税大統領令署名の連続だった。先月1日のカナダ、メキシコ、中国への関税賦課関連署名(3月4日発効)が始まりだ。続けて10日に鉄鋼とアルミニウム製品に25%の関税賦課(3月12日発効)、13日に国別の相互関税賦課(4月2日発効)の署名と続いた。15日には大統領令ではないが欧州連合(EU)の自動車と部品に25%関税を課すと発表(4月2日発効)した。
今後関税を課すことになる標的も警告した。先月25日には銅と関連製品の輸入が国家安全保障に及ぼす影響を調査する内容の大統領令に署名した。半導体のように銅製品が国家安全保障に及ぼす影響が大きいと判断する場合には、関税を課すことができるという意味だ。直近の3月2日には木材輸入も調査すると発表した。
この期間に韓国の政財界は弾劾政局という悪条件にもかかわらず、米国との接触に力を入れた。ただ「会った」という事実以外に明確な成果はないと評価される。韓国産業通商資源部の安徳根(アン・ドックン)長官が先月26~28日にワシントンDCを訪問してラトニック商務長官と会談したが、「関税を免除してほしい」という原則的な要請をするのにとどまった。財界では崔泰源(チェ・テウォン)大韓商工会議所会長を団長にした経済使節団が19~21日に米国を訪問したが、ラトニック商務長官から「最小10億ドル(約1500億円)の投資を望む」という「請求書」だけ渡された。
「運命の3月」に韓国に必要な取引の技術はトランプ大統領が韓国に本当に望むものが何か把握するところから始めなければならない。明知(ミョンジ)大学国際通商学科のキム・テファン教授は「トランプ大統領は関税を交渉の武器としてカナダとメキシコに麻薬規制を、軍事支援を弱点とみてウクライナに鉱物資源を要求する。結局関税賦課は最終目標ではなく手段だ。交渉のテーブルに座る前に米国が韓国に望むものは防衛費分担金引き上げ、造船業支援などという点から明確に理解し備えなければならない」と助言した。
幸い参考事例もある。法務法人広場国際通商研究院のパク・テホ院長は「トランプ大統領の関税の1次ターゲットが中国、カナダ、メキシコ、EUなどであるだけに他の国の対応事例から徹底的に分析しなければならない。安全保障と経済面で最も状況が似た日本を参考にできる」と話した。日本の石破茂首相は先月7日にいち早くトランプ大統領と会った。米国産液化天然ガス(LNG)輸入拡大、防衛費増額などを約束したおかげで米国の関税標的から一歩抜け出したと評価される。
チャン院長は「米国製品の輸入を増やして対米貿易黒字を賢く減らすリバランシング(再調整)戦略を対応基調とするが米国にも韓国は半導体や造船などの産業で核心パートナーであり北東アジア情勢のバランサーという点をパッケージで提示すべき」と助言した。
2025/03/04 08:18
https://japanese.joins.com/JArticle/330628