韓中外交当局が進めてきた王毅中国共産党中央外事弁公室主任兼外交部長(外相)の今月の訪韓が事実上難しくなったものとみられる。
韓国と中国の外交筋は今月下旬、日本の東京で開かれる韓中日外相会議を控え、王外相がソウルを訪問し、韓中外相会談を行う案を引き続き調整してきたが、現在としては可能性が低くなったと述べた。
外交部当局者は「王毅外相の今月の訪韓が中止になったわけではなく、韓中外交当局間で引き続き調整している」としながらも、「可能性が低くなったのは事実」だと述べた。
中国の外交消息筋も「韓中外交当局間の疎通はうまくいっている」とする一方、「中国としては、王毅外相が訪韓するためには、適切な雰囲気の作られなければならず、成果も必要だが、これと関連して懸念すべき点がある」と語った。
戴兵駐韓中国大使も先月25日、韓国記者団との懇談会で、上半期に王毅外相が訪韓する可能性について、「王毅外相の訪韓を韓国側が期待していることは承知しており、両国は対話チャンネルを通じてこれを協議していくことができる」としながらも、「双方の外相の交流は多様な方式で実現できる」と答えた。訪韓の可能性について留保的な立場を示したものとみられる。
王毅外相の訪中問題をめぐり、中国は憲法裁判所の弾劾審判決定を控え、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領支持者たちの反中デモが激しくなり、「中国の選挙介入説」など反中陰謀論を広げている状況を最も懸念している。尹大統領は先月25日、弾劾審判の最終意見陳述で中国に7回言及したうえで、最大野党「共に民主党」が中国側に立っており、機密情報を中国に渡したと主張し、戒厳の正当性を主張した。特に先月14日、「キャプテン・アメリカ」のコスチュームを着た尹大統領の支持者が駐韓中国大使館に乱入しようとして逮捕される事件まで起きたことを受け、このような状況では王毅外相の訪韓が難しいという判断したものとみられる。
また、中国側ではまだ尹大統領の弾劾をめぐる憲法裁の決定が下されていないうえ、判決後も混乱が続く可能性がある状況で、王毅外相が訪韓してどんな成果をあげられるか不透明だとみている。特に、王毅外相は中国権力序列24位以内の政治局委員の一人で、中国では「指導者」級だ。王毅外相が外国を訪問する場合は、外相会談の他にも首脳との面会などを行うが、現在の韓国の政治状況でチェ・サンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官に会うことで、意味ある成果を出すのは難しいというのが中国側の立場といえる。
韓国が王毅外相の3月の訪韓を積極的に進めてきたのは、弾劾政局と第2次ドナルド・トランプ政権の発足による国際情勢の混乱の中でも、韓国外交がまともに作動しているというシグナルを国際的に発信できると考えたためだ。また、今年11月に慶州(キョンジュ)で開かれるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の開催に対する中国の支持と習近平主席の訪韓などをさらに具体的に進展させる契機になり得るからだ。外交当局は、王毅外相の慶州訪問なども推進する案を検討してきたという。
王毅外相の訪韓が事実上難しくなり、韓中外相会談は今月中に東京で開かれるものと予想される。22日ごろに東京で開催されると予想される韓中日外相会議を機に、チョ・テヨル外交長官と王毅外相が別途会談を行う案だ。韓中外相会談は昨年9月の国連総会を機に開かれたニューヨーク会談以来初めて。
2025/03/04 11:47
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