氷を割れば数兆ウォンが“割れる”かも…アラスカLNGのジレンマ=韓国(1)

投稿者: | 2025年3月7日

1年中氷に閉ざされた凍土の地・アラスカ近くの冷たくて荒い海、そして歴代最悪の原油流出事故に数えられる「エクソン・バルディーズ号」のトラウマ…。

ドナルド・トランプ大統領の豪語にもアラスカ液化天然ガス(LNG)開発事業が容易ではないだろうと韓国エネルギー業界が予想する理由だ。一歩間違えば紆余曲折の末に漂流する韓国の東海(トンへ、日本名・日本海)ガス田と同じくアラスカ版「シロナガスクジラ・プロジェクト」になる可能性があるということだ。それでもトランプ氏の意志によって事業が急進展するかもしれないとの展望もある。

 トランプ氏は4日(現地時間)、ワシントンDC連邦議会議事堂の演説で「アラスカに世界最大規模の一つである天然ガスパイプラインを建設している」とし「日本、韓国や他の国々が数兆ドルずつ投資してわれわれのパートナーになってほしい」と話した。

韓国ガス公社をはじめSKイノベーション、GSエネルギーなどのエネルギー業界、HD現代重工業とハンファオーシャンなど造船業界は計算機を叩いている。だが、事業の潜在性にもかかわらず、さまざまな難題が複合的に絡み合っているという点で政府の表情だけを見つめている。アラスカ北部で大規模な石油・天然ガス油田が発見されたのは1960年代だが、60余年が過ぎた現在まで開発は行われていない。

まず、アラスカ産油地が北部ノーススロープ一帯である点に注目しなければならない。LNGを主な使用先と近い南部まで送るには1300キロメートルの長さのパイプラインを敷かなくてはならない。この辺りは年中氷に閉ざされている永久凍土層だ。夏に排水がうまくゆかず、湖になっているところも多い。基礎工事からして困難だということだ。大宇造船海洋(現ハンファオーシャン)でLNG開発事業などを経験した(株)ハニャンのクォン・ヒョジェ常務は「パイプラインは99.9%作っても0.1%が続かなければ失敗する事業」としながら「パイプラインをつないでも極限の寒さと強風で維持・補修しにくい極限の条件」と説明した。

パイプラインを作ってもLNG船が行き来する海の道は悪条件が重なる。経済性だけを考えればノーススロープから(南にパイプラインをひく必要はなく)ベーリング海を経てLNGを行き来させればよい。だが、ベーリング海で船が行き来できるのは夏季3カ月間ほどにすぎない。そのうえアラスカ南部近くの海岸も北極の流氷が漂う場合が多い。波浪も激しく、世界でも指折りの荒い海だ。LNG船に砕氷機能まで備えなければならない。

ソウル大学造船海洋工学科のウ・ジョンフン教授は「過去よりも技術が格段に向上して砕氷LNG船の開発も可能だ」としながらも「建造コストがかさむうえ、流氷がある場合は船の進行も遅くなるため収益性を確認しなければならない」と話した。

「エクソントラウマ」も障害物だ。偶然にも1989年「エクソン・バルディーズ号原油流出事故」がアラスカ南部海岸で起きた。3万8800トンの原油が流出し、2000キロメートルに達する海域に汚染被害をもたらした。当時事故でノーススロープ地域の追加油田開発プロジェクトが事実上中断されるほどだった。

このような悪条件にもかかわらず、トランプ氏が強行すれば事業は推進される可能性が高い。韓国産業通商資源部関係者は6日「難しいことは誰もが知っていることなので、政府と企業が韓米協議体を構成して慎重に確認したい」と話した。エクソンモービルなどグローバル製油会社が過去にプロジェクトから撤退した事例については「過去よりも技術が発展した。トランプ政府側に意志があることから、規制などを早期に解消する点を考慮してみる必要がある」と指摘した。中途半端に肯否を判断しないということだ。

2025/03/07 11:13
https://japanese.joins.com/JArticle/330830

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