「サランヘ」はOK、「アイシテル」はNG?【朝鮮日報コラム】

投稿者: | 2025年3月8日

 「推しグループのメンバーたちが韓国の番組で日本語の歌詞を歌ってくれると期待していたのに…」

 K-POPの6人組男性アイドルグループ「BOYNEXTDOOR(ボーイネクストドア)」の最新曲『今日だけI LOVE YOU(アイラブユー)』には、日本語の歌詞が登場する。「オヌルマン(今日だけ)アイラブユー、アイシテル…(以下、韓国語の歌詞)」。「アイシテル」は日本語の「愛してる」だ。K-POPアイドルに憧れる日本のファンたちは、自分の「推し」グループが自分の国の言葉で歌ってくれたということに心ときめいた。1月のリリース以降、日本の各種音楽チャートで20位圏にとどまっており、まずまずの売れ行きを見せた。

 ところが最近、この曲を巡って日本のファンたちが騒がしい。「今日、韓国の(音楽)番組でボーイネクストドアが出るのだけを待っていたのに、日本語の歌詞が消えててショックでした」。ここ数日、現地のSNS(交流サイト)に似たような書き込みがいくつかアップされていたため、直接韓国の音楽番組を調べてみた。実際に1月に放送されたSBSの代表的な歌番組『人気歌謡』のステージでは、日本語の歌詞が聞こえなかった。「アイシテル」という元の歌詞が「アイウォンチュー(I want you、君が欲しい)」という英語の歌詞に置き換わっていたのだ。

 ボーイネクストドアの所属事務所は「テレビ局の審議」を理由に挙げた。本来の歌詞通りに日本語で歌おうとしたが、テレビ局側が不適切だと判断し、英語に変えたというのだ。日本のファンたちも、このようなことは珍しくないと知ってか「韓国の地上波では日本語が入った曲はあまり流れません」「最近、韓国の芸能界は特に『政治的発言』に敏感になっているため(規制が)より厳しくなったようです」などと書き込み、「残念だけど仕方がない」といった反応を示した。「それでも、推しグループが日本語を歌詞に入れてくれたのだから、とてもうれしいし、ありがとう」という感謝のコメントを読んで、非常に申し訳ない気持ちになった。

 韓国政府が日本の大衆文化に門戸を開いてから21年が過ぎた。日本の映画やアニメが韓国の映画館で上映されて人気を集め、韓日の俳優が互いの国を行き来しながら試写会に出席する様子は、私たちにとっても既に見慣れた光景になった。日本の年末の代表的な音楽番組『日本レコード大賞』と『紅白歌合戦』にはこのところ毎年、韓国のアーティストが必ず登場している。もちろん、韓国語の歌詞をそのまま歌う。

 K-POPアイドルを筆頭とする韓国の文化産業が、日本だけでなく西洋でも地位を確立したという事実を否定する人はもういない。韓国の1人当たりGDP(国内総生産)は2020年代に入って日本を上回り、毎年230万人を超える日本人が韓国を訪れている。

 このような状況でも、韓国の地上波放送でわずか1行の日本語の歌詞が姿を隠さなければならないのか。ある日本人のK-POPファンは「韓国の放送で日本語の歌を制限するのは、法律ではなく感情」と話した。今年は両国が国交を正常化して60周年を迎える年だ。「サランヘ(韓国語で愛してる)」も「アイシテル」も、どちらも自由に言えるようになるべきだ。

キム・ドンヒョン記者

2025/03/08 07:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/03/03/2025030380005.html

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