超高速超高齢化、静かな高齢者の国韓国(2)

投稿者: | 2025年3月30日

実際に全国の療養病院はますます減っている。2020年の1583カ所から昨年には1342カ所と200カ所以上急減した。行為別に診療報酬を適用する他の医療機関と違い、診察料や薬剤費などが1日当たりの定額報酬制で縛られているため高齢層の診療が増えるほど病院はむしろ損失を出す構造が主要因に挙げられる。ホ・ジュンス教授は「超高齢社会であるほど重要なのがケア医療サービス。高齢者が安心して診療を受けられるシステムを一日も早く構築しなければならないだろう」と注文した。学界では「いまの画一的な対策から一歩踏み出して、75歳以上、85歳以上など、より細分化されたオーダーメード型政策をまとめてこそ医療サービスの効率性を高められる」という声も大きくなっている。

1人暮らしの高齢者の増加とそれにともなう孤独死問題も超高齢社会の当面の課題のひとつだ。光州(クァンジュ)で暮らし4年前に故郷の高興に戻ったという70代のチョンさんは「都市は施設が良いが、常に断絶した生活を送っていると孤独死に対する恐れがむしろ多く感じられた。ここはだれかが亡くなれば集落で放送が流れるほど住民同士がつながっている感じが強く気持ちが楽だ」と話す。彼は「ただいつまでこのように暮らせるかと考えると心配がある。交通が良くなれば子どもももう少し頻繁にきてくれるのではないだろうか」と期待した。

 ◇「官民が額を突き合わせるべき時」

高興郡が若い世代が近隣の大都市に通勤できる交通インフラ拡充に注力するのもこうした理由からだ。高興郡のコン・ヨンミン郡守は「交通インフラと住宅問題を持続的に改善し、平日5日は都市部で、週末2日は田園や故郷で生活する『5都2村』を超高齢社会の代案へと発展させていく計画。現在推進中の光州高興間高速道路が完工すれば高興からいくらでも通勤が可能になり、定住環境がはるかに良くなるだろう」と話した。

専門家らの間では高齢者の最大の悩みである「寂しさ」を減らすためには政府のマクロ的な政策より自治体レベルの小さくても実質的な対策がはるかに効果的だという指摘も出る。老人生活科学研究所のハン・ドンヒ所長は「超高齢社会では健康にうまく老いていく『アクティブエイジング』が地域単位で施行されることが何より重要だ。早くから超高齢社会に進入した日本の場合、地域コミュニティレベルで多様なヘルスケア、心理プログラムなどが活性化し、療養施設を訪れる高齢者が大幅に減った事例を参照する必要がある」と提言した。

ハン所長は「すでに健康が悪化してからケアを受けるには多額のお金と時間がかかるものだ。高齢層の身体的・感情的健康をあらかじめ守れば超高齢社会を迎えて韓国社会が耐えなくてはならない費用も大きく減ることになるだろう」と診断した。ホ教授も「孤独死は単に田舎の高齢層だけの問題ではない。遠からずソウルも同じ問題に直面するほかない。手遅れになる前に政府と自治体だけでなく、宗教団体や市民団体など官民がともに額を突き合わせなければならない時」と話した。

高齢者の貧困率が高いのも高齢者雇用問題と合わせて解決すべき課題に挙げられる。実際に2022年に韓国の高齢者貧困率は39.7%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち最上位圏を記録した。これは高齢者になっても働き続けなければ生計を維持できず、これにより高齢者の労災率まで高まる悪循環につながっているという診断だ。すでに2023年に労災補償を受けた災害死亡者のうち60歳以上が全体の52.1%を占め初めて半分を超えた状態だ。

韓国労働研究院のパク・ジョンシク研究委員は「超高齢社会では高齢労働者がさらに増えるほかないのが現実。勤務地の照明を年齢帯に合わせて調節するなど、より繊細なガイドラインを通じて高齢層も安心して働ける環境を作る必要がある」と注文した。

2025/03/30 11:20
https://japanese.joins.com/JArticle/331896

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