米国は信頼を失う…「毒」となったトランプ関税

投稿者: | 2025年4月12日

「市場」は予測できない不確実性を強く嫌う。不確実性が高まるほど市場は頻繁に動揺し、不確実性がピークに達すれば投げ売りの様相が表れる。こうした現象が繰り返されれば市場は崩壊危機を迎える。最近の「関税戦争」懸念で米国金融市場がこうした道を歩む姿だ。

トランプ米大統領の一言で乱高下を繰り返す。9日(現地時間)、トランプ大統領が中国を除いて他国に適用する相互関税を90日間猶予すると発表すると、ニューヨーク株式市場は記録的な暴騰となった。S&P500指数は9.52%急騰した。第2次世界大戦以降、米株式市場で史上3番目に高い上昇率だ。ナスダック総合指数も12.16%上昇し、上昇幅が過去2番目に大きかった。

 しかし「一日天下」だった。10日のニューヨーク株式市場は急落した。S&P500指数は前日比188.85ポイント(-3.46%)下落した5268.05で取引を終えた。ナスダック総合指数は前日比737.66ポイント(ー4.31%)下落の1万6387.31で引けた。トランプ大統領が就任後、中国に145%の関税を課し、中国もすべての米国産に84%関税を追加すると、両国間の貿易が事実上停止するという懸念が市場に広まったからだ。さらに中国は今日(12日)から米国産輸入品に対する関税率を84%から125%に引き上げると11日、発表した。

経済専門家らは経済規模のために「米国がくしゃみをすると韓国が風邪をひく」という。実際、米株式市場が急騰・急落すれば、韓国株式市場はさらに大幅に動いたりする。ところが米株式市場が急騰した翌日の10日、KOSPI(韓国総合株価指数)やコスダック指数はそれぞれ6.60%、5.97%の上昇にとどまった。米国の上昇幅の半分ほどだ。また米株式市場が急落した翌日の11日にはKOSPIは0.50%下落し、コスダック指数はむしろ2.02%上昇した。これはいつ変わるか分からないトランプ大統領の言葉に米国の投資家がどれほど不安を感じているかを傍証する。

安全資産と見なされてきた米債券の利回りや米ドルの価値を見ると、こうした動きはさらに目立つ。投資家が米国債を売り始め、国債の価格は急落(利回りは上昇)した。11日午前3時(現地時間)、米10年国債の利回りは4.421%となった。相互関税発効直後の9日午前に4.5%台まで上がった米10年国債の利回りは、トランプ大統領が中国を除いた国に相互関税を90日猶予すると発表すると4.2%に下がり、安定を取り戻すかと思われた。しかしすぐにまた上昇した。特に30年国債の利回りは3日間で約50bp(1bp=0.01%ポイント)急騰した。ウォールストリートジャーナル(WSJ)は1982年以降で最も速い上昇ペースだと伝えた。債券の利回りが急騰したというのは債券の価格が急落したということだ。

◇ドルインデックス99.7まで下落…2023年7月以降初めて

国債の利回り急騰は財政赤字に苦しむ米政府に大きな負担となる。昨年末基準で連邦負債は35兆4600億ドル(約5100兆円)で、昨年の米政府の国債利子費用は1兆1330億ドルにのぼる。株式の暴落にも動かなかったトランプ大統領が国債の投げ売りが表れると関税を猶予したのはこのためだ。トランプ大統領は9日、関税猶予を発表した直後、「国債市場の反応のために関税を猶予したのか」という質問に対し、「昨夜、人々が不安を感じている姿を見た」と答えた

ドル安も進んでいる。11日午前(現地時間)、主要6カ国通貨に対する価値を示すドルインデックスは99.7まで下落した。その後100.3水準に上がったものの、ドルインデックスが100を下回ったのは2023年7月以降初めてだ。今年1月13日には110線を超えていたが、トランプ政権が関税戦争を始めてからドル安が加速した。11日のソウル外国為替市場で韓国ウォンは前日比6.5ウォン値上がりした1ドル=1449.9ウォンで取引を終えた。

ドルとともに基軸通貨に挙げられるユーロ・日本円は対ドルで大幅に値上がりした。日本円の場合、この日1ドル=143円台で取引が終わった。2日前の9日は1ドル=148円だったが、急激に円高ドル安が進んだ。米国の関税の余波で米国に対する信頼が揺れ、安全資産のドルに対する需要が日本円やユーロに移る動きを見せている。通常、景気沈滞のような危機が迫れば安全資産に需要が集まる。ドルは以前まで最も堅固な安全資産の一つだったが、今ではこうした前提が通用しない。また低金利で日本円を借りて収益率が高いリスク資産に投資する「円キャリートレード」の清算の可能性がまた台頭している。米国のドル・国債価格と株式市場の同時下落は異例だ。通常、米国の株式が急落すれば安全資産の需要が増えてドルが値上がりし、国債利回りは下落する。ペク・ソクヒョン新韓銀行エコノミストは「米国の一貫性のない関税政策が米国資産の信頼を毀損している」と説明した。

2025/04/12 12:24
https://japanese.joins.com/JArticle/332456

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