トランプ米大統領の「相互関税」の影響が拡大している。米国債利回りが1週間で24年ぶりの幅で上昇し債券市場が発作を起こしているためだ。専門家らは当分米国債に対する安全資産という信頼が揺らぎ、金利変動性はもっと大きくなるとみた。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、10年物米国債利回りは11日に年4.494%を記録した。4日の4.009%と比較すると1週間で0.5%近く上がった。2001年11月以降で最大の上げ幅だった。フィナンシャル・タイムズはこの日「29兆ドル相当の米国債市場が流動性悪化により変動性が大きくなっている」と警告した。
一般的に経済不確実性が大きくなると安全資産である米国債券の価格は上昇する。破産の懸念が低い米国債券を買おうとする資金が集まるためだ。米国の景気低迷への懸念に米連邦準備制度理事会(FRB)が金利引き下げ「救援投手」に出るだろうという期待も債券価格を引き上げる要因だ。だが最近こうした「伝統的な債券市場の公式」が壊れ始めた。
専門家らは、外国人投資家の米国市場離脱を原因に挙げる。「トランプ米大統領の一進一退の関税政策が米国の政策決定と経済に対する世界の投資家の信頼を揺さぶった」と同紙は評価した。米アカデミー証券のマクロ経済戦略責任者ピーター・チア氏も「トランプ大統領が今後どのように行動するのか正しく知ることができないという懸念に米国債と社債の売り圧力が大きくなっている」と話した。
市場では関税爆撃を受けた中国政府が米国債売却をカードに米国を揺さぶるかもしれないという懸念が相変わらずだ。同紙によると中国の投資家が保有する米国債規模は昨年末基準で約7590億ドルとなり日本の1兆1680億ドルに次いで多い。米国債はトランプ大統領のアキレス腱(弱点)だ。国債利回りが上昇すれば35兆ドル相当の米国の連邦負債にともなう利子負担が増える。また、主要金融商品と連動されているため国債利回りが上がれば個人・企業の利子償還負担が大きくなり、住宅市場が打撃を受ける恐れがある。来年中間選挙を行わなければならないトランプ大統領には悪材料になりかねない。トランプ大統領が数回「株式は見もしない。(われわれは)10年物国債利回りに集中している」と強調した理由だ。
米ヘッジファンドのベーシストレード清算が市場の需給に影響を与えたという見方もある。国債先物と現物の間の価格差を活用した差益取引戦略を意味する。ヘッジファンドはこの過程で数十倍の資金を借りてレバレッジで投資する。問題は市場予想とは別に債券価格が急落(金利急騰)しながら一部は強制清算されると分析される。2020年のコロナ禍初期にもヘッジファンドのベーシストレード清算で債券市場が揺れた。
米国債市場の不安は当分続く見通しだ。メリッツ証券のユン・ヨサム研究委員は「米国債に対する投資家の信頼を短期間で解消するのは難しい。ここに中国とカナダなどが関税報復で米国債売却カードを切る可能性があり変動性が続く恐れがある」と予想する。
新韓銀行のエコノミスト、ペク・ソクヒョン氏も「ベーシストレードの清算で短期的に需給が混乱した。外国人投資家の米国資産市場離脱が続く恐れがある」と話した。ただしドイツ国債などは米国債需要を代替するのは難しく、市場が正常化すれば安全資産の地位も取り戻すだろうと付け加えた。
2025/04/14 07:50
https://japanese.joins.com/JArticle/332473