米エネルギー省(DOE)が韓国を「センシティブ国」に指定したと国内に伝えられてから1カ月が経過した。センシティブ国指定効力発生時点(15日)を控えて安徳根(アン・ドクグン)産業通商資源部長官が先月、急いで米国を訪問した。米国側が韓国政府と事前協議をせず、通知もしなかったため、その間、甲論乙駁があった。政府傘下研究所または個人の保安逸脱行為とみる解釈もあり、韓国で提起された独自核武装論に対する米国側の警告と解釈する見方もあった。
政府はセンシティブ国グループの最下位等級に指定されたため大きな問題はないと強調してきた。しかし問題の核心は米国の同盟である韓国がセンシティブ国グループ(SCL)に含まれたという事実だ。米商務省の輸出統制対象国で韓国が「ホワイトリスト国家」のAグループに属しているという点を考慮すると、米エネルギー省の今回の措置は極めて異例だ。
センシティブ国グループに含まれた国を見てみよう。北朝鮮・イランなどはセンシティブ国の中でも「テロ支援国」に分類され、中国・ロシアなどは「危険国家」に分類されている。韓国と台湾は「その他指定国家」に入った。米エネルギー省は国家安全保障、核不拡散、テロ支援など多様な要素を考慮してセンシティブ国を指定する。指定理由は多いが、核技術・装備など敏感な技術が指定国に移転される可能性を遮断する目的もある。これを考慮すると、単に一度の行為で韓国が指定されたとは考えにくい。
韓国政府が米国側に十分に説明し、韓国がセンシティブ国グループから早期に除外されるかが事案の重大さを判断する基準になりそうだ。過去の事例をみると、1981年に米国が韓国をセンシティブ国に指定したが、当時は核問題が理由だった。1993年の韓国の解除要求に続いて、1994年の解除まで7カ月間の厳しい交渉過程を経験した。今回も時間がかかる可能性がある。
トランプ政権1期目は2018年、「米国輸出管理改革法(ECRA)」を通じて従来の輸出統制体制に大きな変化を図った。トランプ大統領はこの法を主要業績として自負しながら、経済安全保障の政策的手段として活用している。輸出統制改革法の2つの核心事案は「新興基盤技術(EFT)」指定および統制強化、そして省庁間の仕切りの除去だ。省庁間の調整を強調するのは、新興技術の波及力と二重用途問題を考慮してのことだ。
特に省庁間の協業を強調しながら輸出統制関連機関の商務省・国務省・エネルギー省・国防総省など主要省庁の協議調整プロセスを強化している。例えば核技術の移転統制の場合、「核輸出政策下位グループ(SNEC)」と輸出政策諮問委員会(ECEP)を設置し、全省庁レベルの調整と履行を強調している。
したがって今回のセンシティブ国指定措置が異なる分野に拡大せず、韓米科学技術協力を阻害しないよう、うまく処理する必要がある。実際、人工知能(AI)・宇宙・情報通信技術(ICT)・バイオなど先端技術分野で米国の技術・装備・部品導入が円滑でなければ韓国の技術革新は遅滞しかねない。こうした問題が現実化しないように政府の先制的な対応が求められる。
韓米の間では核武装論とは別に、エネルギー部門でも隔たりが存在する点を否認できない。米原発企業のウェスチングハウスとは原発輸出イシュー、原子力技術の国産化、原子力技術の統制目録登載など複数の部門で利害衝突の余地がある。
センシティブ国指定という複雑な事案の前後の脈絡と背景を考慮せず過度に拡大解釈したり、政治陣営論理で我田引水式の解釈をしたりすれば、今後の韓米協議にプラスにならない。同盟の米国との共感がない状況で精製されない核武装論を主張するのも望ましくない。性急な主張は結局、韓国の潜在的核能力の向上にも役立たない。これは日本の事例を見れば分かる。
政府は今回のセンシティブ国指定を部処間の連係体制を強化する契機にしなければいけない。敏感技術統制体制に対する全般的な法制と政策に対する透明性を向上させれば「苦い薬」になるかもしれない。
ユ・ジュング/世宗研究所上級研究委員
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2025/04/15 16:10
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