ドナルド・トランプ米大統領が米日関税をめぐる初めての長官級会談に自ら乗り出し、日本に圧力を加えた。中国との関税戦争で勝利を確信できない米国が、自国に対する安全保障依存度の高い同盟国である日本を先に交渉対象にし、安全保障問題も結び付けて急いで成果を出そうとする思惑がうかがえる。韓国も日本と同様の圧力を受けるものとみられる。
林芳正官房長官は17日(現地時間)、「(日本は)日米閣僚級会談で(米国が日本に賦課した)関税措置が極めて遺憾だという点と、日本の産業や投資、雇用の拡大に与える影響について日本の考えを説明したうえで、米国による一連の関税措置の見直しを強く申し入れた」と述べた。さらに「トランプ大統領からは、国際経済において米国が現在置かれている状況について率直な認識が示された。また、米国関税措置の背景について率直に述べつつ、『日本との協議が最優先』という発言があった」と伝えた。トランプ政権は日本に韓国より1%ポイント低い24%の相互関税を策定している。ただし、相互関税は10日、発効半日後に中国を除く国々には90日間猶予すると発表した。
これに先立ち、16日、米ワシントンのホワイトハウスで、赤澤亮正経済再生相とスコット・ベッセント米財務長官などが参加した閣僚級関税交渉が開かれた。赤沢経済再生相はトランプ大統領と50分間会談(表敬訪問)した後、別途にベッセント長官らと75分間閣僚級会談を行ったと述べた。トランプ大統領が突然自身も交渉に参加する意向を示したことで、会談場所は本来予定されていた米財務省ではなく、ホワイトハウスに変更された。赤澤経済再生相はトランプ大統領との面会後、「明らかに(大統領に比べて)格下の格下なのに、トランプ大統領が会ってくださったことは大変ありがたいことだ」と述べた。さらに、日本メディアの報道によると、赤澤経済再生相はトランプ大統領に赤色の「マガ」(MAGA・米国を再び偉大に)帽子をもらったという。トランプ大統領も面会後、トゥルス・ソーシャルへの投稿で、「日本の貿易代表団と先ほど会った」としたうえで、「大きな進展」だと綴った。
トランプ大統領が直接乗り出して日本との交渉を加速化させる背景には、米国が関税戦争で比較的交渉が容易に見える相手を選んで先に成果を出そうとする思惑があるものとみられる。赤澤経済再生相は会談後、「米国が(関税猶予期間の)90日間でディールを成り立たせようという考えを持っていると理解している」と述べた。中国と100%を越える相互関税で「関税戦争」を行う米国が守勢に追い込まれ、他の関税賦課国問題を適当な線で早く終わらせようとするという分析も出ている。
日本政府によると、日米初の関税交渉で合意内容はひとまず3つだ。まず、両国はできるだけ早い時期に関税交渉を終え、首脳会談を通じた共同発表を目指すことにした。また、今月中に2回目の協議に向け日程調整を進め、協議は閣僚級だけでなく実務級に拡大する。
詳細については両国とも明らかにしていない。当初、米国は日本の非関税障壁をはじめ、対米貿易黒字の縮小案や在日米軍の防衛費の引き上げ、ドルに対する日本円の価値に対する不満などを攻撃的に提起するものと予想されていた。トランプ大統領も日本交渉団の米国到着前に行ったトルース・ソーシャルへの投稿で、「日本が今、関税と軍事支援(防衛費)、貿易公正性を交渉するために(米国に)来ている」とし、すでに3つの会談議題を特定したような態度を見せた。
実際、トランプ大統領は赤澤経済再生相との面会の際、在日米軍駐留費用など防衛費に対する不満を示したと日本のマスコミは報じた。朝日新聞は「トランプ大統領が赤澤氏との会談の中で、米国だけが対米防衛義務を負っているのは『不公平』だなどと、日米安保に関する従来の持論を繰り返したという」と報道した。米国が関税問題を防衛費と結びつけようとする態度は、来週米国との交渉を控えた韓国にとっても敏感な事案だ。トランプ大統領との会談に続いて行われた閣僚級会談では、主に対日本貿易赤字の解消案が話し合われたものとみられる。「トランプ大統領の経済策士」と呼ばれる大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブン・ミラン委員長はこの日、読売新聞とのインタビューで「(米国の莫大な貿易赤字について)国を守るために必要な装備を生産する製造業の能力を損なっている」とし、「相互関税などで貿易不均衡を是正し、国内製造業の強化を図ることは国家安全保障に重要」だと述べた。
東京/ホン・ソクジェ特派員forchis@hani.co.kr
2025/04/17 20:57
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