その他の艦艇の格差はさらに大きかった。大陸をつなぐ橋になったと言われたリバティー級輸送艦は4年間に2710隻が建造された。いくら構造が簡単な輸送艦でも満載排水量1万4000トン規模の船を作るのには平均24日かかった。わずか4日と15時間30分という驚異的な完工記録もあった。製作時間が長くかかる艦艇がこの程度なのだからその他の武器は話す必要すらない。米国のこうした能力は勝利の最も重要な本質だった。
冷戦時代にも米国の軍艦供給能力は相変わらずだったが、時間が流れ20世紀末に冷戦が終息して状況は変わった。排他的なジョーンズ法で保護されていても一般船舶分野は競争力を完全に喪失したほど米国の造船業が衰退したのだ。軍艦発注に全面的に依存するニューポート・ニューズ造船所のようにかろうじて命脈を維持する一部事業所もあるが、これもまた生産性が悲惨なほど低く、既存艦艇のメンテナンスにも手を焼く状況だ。
もし米国がソ連崩壊後に獲得した唯一の超強大国の地位が依然として堅固ならばこうした問題を深刻に感じなかっただろう。米国は冷戦終息後に軍縮をしても依然として世界1位であるほどこれまで構築しておいた戦力が途轍もないため老朽艦艇だけタイミングに合わせて入れ替えれば十分に海軍力を維持できるためだ。しかし21世紀に中国がG2として議論されるほど急成長した経済力を踏み台に海軍力拡充に出て状況が変わった。
覇権国は後発走者の挑戦を受ければ競争も辞さず優位を維持しようとするのが人の常だ。先に述べたように20世紀初めの英国のように、米国はいま海軍力拡充に出なければならない時点だ。問題は現在の米国の能力で適正な時期に必要な軍艦の獲得が不可能な状況である点だ。一時連合国の兵器廠の役割をした莫大な生産能力はいつのまにか過去のものになり、すぐにその時代に回帰する方法もない。
さらに最近米国が造船業の強者である韓国を見つめる視線が熱くなっているという報道が出始めた。現在米国の同盟国のうち韓国と日本だけが米国が必要とする軍艦をすぐに供給できる能力を持っている。特に韓国の競争力が優れている。ひとまず軍事機密とそれほど関連のない非戦闘艦のMROを韓国の造船会社に依頼して様子を見始めたが、これはそれだけ米海軍が急な状況という意味だ。
トランプ政権の積極的な要請により韓国の造船会社が米海軍の軍艦建造に参加できるというバラ色の報道が出ているが、すでにバイデン政権時代に米海軍長官が訪韓して造船所を視察したほど以前から関心を見せていた。しかし建造を依頼しても軍艦に対する米国の自尊心があまりにも強いため韓国内建造ではなく韓国の造船会社が米国に投資して建造しろという条件になる可能性が大きい。
トランプ大統領が米国製造業の復活を叫ぶのとは別にAV8戦闘機、M9拳銃の事例のように米軍は外国製武器を導入する際には必ず米国内生産・納品が原則であるためだ。いずれにせよ関税争いで見るように現在の米国政府は中国を最も敵対的な勢力とみている。当然中国海軍の浮上を牽制する必要があり、現実を考慮すればどのような形であれ韓国の参加が実現するのは確実にみえる。果たしてどんな方法で交通整理されるのか気がかりだ。
ナム・ドヒョン/軍事コラムニスト
2025/04/27 12:43
https://japanese.joins.com/JArticle/333050