米トランプ政権の大々的な関税施行に中国がもしかすると貿易戦争の勝者になるかもしれないとの主張が提起されている。ドルに対する信頼が弱まる中で、人民元が基軸通貨の覇権を獲得するのではないかというもっともらしい解説だ。実際に中国国家統計局が16日に発表したところによると、中国は1-3月期に国内総生産(GDP)が前年同期比5.4%成長し、当初の市場予想値5.1%を上回った。これに対し米国のGDP成長率は同じ期間に年率換算でマイナス1.5%を記録した。中国経済が善戦する間に米国経済は萎縮したかのように見えた。
中国政府も勢いに乗っている。中国外交部は17日、米ホワイトハウスが中国に対する関税率が最大245%と発表したことに対し、「米国が継続して関税率で数字遊びをするとしても無視するだろう」と批判した。しかし筆者は、中国が最近直面しているデフレーション(景気低迷の中での物価下落)の悪循環を考慮すると、中国が米国との貿易戦争で勝利するというのは簡単には納得し難しい主張だと考える。中国の3月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前月比マイナス0.1%で、2カ月連続でマイナスを記録した。
人民元の地位向上を話す人たちがいるが、現実は正反対に流れている。ドル相場が急落傾向を見せているが、人民元相場はむしろさらに落ちているためだ。ドル相場といは英ポンドや日本円、そしてユーロなど主要先進国通貨に対するドルの為替相場変化を測定したものだ。したがってドル相場が下がっているのに人民元相場が下落しているというのは中国経済になにか問題が生じた兆候とみることができる。
ドル安なのに投資家が人民元買いを敬遠している最も直接的な理由は、2022年の上海封鎖後に中国の内需景気が深刻な低迷に陥ったことにある。当時中国・広州に本社を置く中国最大の不動産建設会社の恒大グループの破産は消費心理を落とす決定的な契機として作用した。恒大グループは2021年に米経済誌フォーチュンの世界的500大企業リストで122位を占めるほど大きな規模を誇ったが、内需不況の波を乗り越えることができなかった。
2025/04/27 10:30
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