フォード「米国から、米国のために」愛国広告…関税マーケティングあふれる

投稿者: | 2025年4月28日

「米国から、米国のために」。

米自動車メーカーのフォードが今月初めから米国の新聞とテレビを通じて掲げた広告のコピーだ。ユーチューブに公開された30秒の動画広告でフォードは「どの自動車メーカーが最も多くの米国人労働者を雇用するのか、どの自動車企業が米国で最も多くの車を生産するのか。まさにフォードだ。偶然の一致でなく献身のため」と紹介した。白人労働者が米国のフォード工場で自動車を組み立てる場面とともにだ。

 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)系列の市場調査機関S&Pグローバルモビリティによると、フォードは昨年米国で約5万7000人の労働者を雇用し、約170万台の自動車を生産した。どちらも米国に生産施設を置く自動車メーカーで1位だったが、フォードがこれを前面に掲げて「愛国マーケティング」を展開したのだ。フォードはゼネラルモーターズ(GM)、ステランティスとともに米国の伝統自動車3社と呼ばれる。

この広告は3日に米トランプ政権が輸入自動車に25%の関税をかけ始めた直後に掲載された。フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は2月にニューヨークで開かれたカンファレンスで「韓日製自動車に関税を課すべき」としてトランプ政権をそそのかしている。

フォードが米国の生産比率が他の企業より高い点を活用してトランプ関税局面でシェア拡大に出たという分析が出ている。フォードは昨年の米国販売分約206万台のうち80%の約165万台を米国で生産し、関税の影響が比較的少ない。販売台数1位のGMの55%、2位のトヨタの54%より米国での生産割合が高く、4位の現代(ヒョンデ)自動車・起亜の33%を大きく上回りリードする。

大徳(テドク)大学未来自動車学科のイ・ホグン教授は「この広告を通じ、『関税施行にもフォードは価格が上がらない』というメッセージを消費者に投げかけた。トランプ政権にフォードの米国内生産・雇用を強調して関税政策に有利な立場を確保しようとするものではないか」と解釈した。

フォードのこうした攻勢に、現代自動車・起亜のような外国企業は現地生産拡大と供給網再編を急いでいる。現代自動車は起亜メキシコ工場で生産し米国に輸入した「ツーソン」を現代自動車の米アラバマ工場の生産に変えた。ツーソンは1-3月期に米国での販売台数が5万4937台で前年同期比20.8%増加した人気モデルだが、関税負担を解消するために生産地を変えたのだ。代わりにアラバマ工場で生産されたカナダ向け輸出用モデルの一部はメキシコでの生産に転換した。メキシコとカナダの貿易は依然として無関税が維持されるためだ。

日本の自動車メーカーも人気モデルの米国生産を増やすのに注力している。米オートモーティブニュースによると、日産は来年3月までにスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」の米国生産を17万2533台まで増やす。関税施行前の見通し11万369台より56%増やした数値だ。日産はニューヨーク・モーターショーで自社の米国製車両に「新しい関税の影響を受けない」と書かれたステッカーを貼り付けたりもした。日産は関税が課されないモデルを米国の消費者に紹介する広告動画も作った。日本経済新聞は26日の報道で「企業にとって苦境につながるトランプ関税策を逆手にとって、商機を広げようとする試み」と評価した。

国民大学自動車運送デザイン学科のクォン・ヨンジュ教授は「現代自動車・起亜がこの競争で生き残ろうとするなら6カ月以内に主要人気モデルの米国生産ラインを構築するしかないだろう」と予想する。

2025/04/28 09:09
https://japanese.joins.com/JArticle/333069

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