トランプ発ショック予想していたか…iPhone下請け企業の大きなビジョン(2)

投稿者: | 2025年4月29日

アップルの心変わりによっていつでも事業が揺らぐ恐れのある状況で、フォックスコンは変化と挑戦に力を注いでいる。郭氏はすでに2018年に、「今後5年間で最小100億台湾ドルを投資する」としてAI企業への跳躍計画を発表している。この時、新たな成長動力として選択したパートナーがAIチップのトップランナーであるエヌビディアだ。エヌビディアが設計したグラフィック処理装置(GPU)はTSMCでSKハイニックスの広帯域メモリー(HBM)とともにパッケージングされ、「ブラックウェル」のようなAIアクセラレータとして完成される。これをフォックスコンが受け取り、ソリッドステートドライブ(SSD)、冷却システムなどと結合してAIサーバーとして組み立てた上でデータセンターに最終納品する。昨年フォックスコンの全売り上げのうち約30%はクラウドとネットワーキング製品から出た。iPhoneなど消費者電子製品部門の46%に迫る水準だ。フォックスコンの劉揚偉CEOは「早ければ今年中にもAIサーバー売り上げがiPhone売り上げを超えるかもしれない」と明らかにした。

エヌビディアとの密着の歩みは独自のAI技術開発でも実を結び、中国語繁体字に特化した初の大規模言語モデル(LLM)「フォックスブレーン」も先月公開した。2017年に日本の東芝半導体の買収戦に飛び込むなどメモリー半導体企業として生まれ変わるための野心も見せている。

 ◇フォックスコンの変身キーワード:中国、電気自動車=フォックスコンの主要顧客であるアップルは関税爆弾を懸念して生産施設の多角化を試みている。最も有力な代案は人口大国のインドだ。ブルームバーグによると、この1年間にインドで作られるiPhoneは60%ほど増加した。だがインドをはじめとして24カ国にあるフォックスコンの生産施設のどこも中国のような競争力を備えるのは難しい。中国のフォックスコン工場の底力は安い労働力だけでなく堅固な供給網が後押ししているためだ。すでに第1次トランプ政権時代に「米国優先主義」によりウィスコンシン州にディスプレー工場を作るプロジェクトを試みて失敗を体験したフォックスコンが米国内に生産施設を構えるかも観戦ポイントだ。当時フォックスコン北米法人でこのプロジェクトを担当していたウィスコンシン大学のアラン・ヨン教授は中央日報との電子メールインタビューで「だれも未来を予測できないが、ウィスコンシンは過去にもそうだったし現在も先端製造と技術開発に非常に適合した所。このプロジェクトを再び魅力的に作り上げるのに良い環境なのでトランプ政権の政策と顧客であるアップルの支持が予想され、今後フォックスコンのウィスコンシンプロジェクトは楽観的だろう」と話した。

また、フォックスコンは世界1位の自動車ファウンドリーを夢見ている。2020年に電気自動車製造プラットフォームのMIHを公開して電気自動車市場への進出を告げたフォックスコンは、委託生産サービスを提供してこれを通じ自動運転部品市場を席巻するというのが目標だ。2023年2月にはルノー・日産・三菱アライアンスの首席副社長を務めた関潤氏を最高戦略責任者(CSO)として迎え入れ、昨年にはホンダとの合併を議論している日産の買収戦に飛び込んだ。台湾政府は2040年から台湾で電気自動車だけを販売するという政策を発表したが、フォックスコンの製造技術を活用して電気自動車を未来の収益源として育成するものと業界は予想する。ヨン教授は「電気自動車、AI、ロボティクス、半導体など、フォックスコンが設定した未来戦略は果敢ながらも方向性は明らかだ。このうち一部を実現するだけでもフォックスコンはより一層強力なグローバル企業として跳躍できるだろう」と話した。

2025/04/29 13:08
https://japanese.joins.com/JArticle/333153

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)