習近平主席の反米連帯を無視したベトナム「我々と米国と独特なつながり」

投稿者: | 2025年5月8日

 中国の習近平国家主席が米国との関税戦争に立ち向かう友軍を確保するため、4月中旬にベトナム、マレーシア、カンボジアの東南アジア3カ国を歴訪しましたが、事実上手ぶらで帰ってくることになりました。欧州連合(EU)、韓国、日本などが中国の期待とは異なり、米国との交渉を選ぶと、対中貿易依存度の高い東南アジアに目を向けたのです。しかし、習主席の反米連帯の提案に積極的に呼応した国はありませんでした。

 習主席はベトナムのファム・ミン・チン首相と会談した席上、「共に覇権主義や一方主義、保護主義に反対しよう」と述べましたが、ベトナム国営メディアはこの発言を一切報じませんでした。ベトナム商工省は習主席が去るとすぐに中国製品の対米う回輸出を防ぐ方策を打ち出しました。中国が米国に対する報復として、塗装まで終えた状態でボーイング737MAX旅客機を送り返すと、マレーシアの航空会社はその期待の購入を表明しました。

 中国に劣らず対米貿易の割合が大きい東南アジア諸国はトランプ政権による報復が怖かったのでしょう。しかし、米ニューヨークタイムズは、巨額の政府補助金によるダンピング輸出、強圧的な貿易政策などで中国が東南アジア各国の支持を失った面もあると分析しました。同紙中国語版は「習主席が東南アジアで『魅力攻勢』を繰り広げたが、魅力が足りなかった」と皮肉りました。

 ベトナムは東南アジア諸国の中でも対米貿易規模が最も大きく、昨年の貿易規模は1500億ドルに達します。米国の関税爆弾を避け、中国企業が大挙して移転した先でもあります。習主席が最初の訪問国としてベトナムを選んだのにはそんな理由がありました。

 中国国営新華社は、習主席は4月14日にチン首相と行った首脳会談で「戦略的な意思疎通を強化し、ともに覇権主義、一方主義、保護主義に立ち向かおう」と述べたと報じました。しかし、ベトナム政府の公式発表でその発言を見当たりませんでした。ベトナム共産党のトー・ラム総書記に会った際も「共に一方的な嫌がらせに反対し、世界の自由貿易体制と産業サプライチェーンの安定を維持していこう」と述べましたが、やはりベトナム側の発表文ではその発言が抜け落ちていました。

 4月15日に出された共同声明には「覇権主義、強権政治、あらゆる形の一方主義に反対する」という文言がありました。しかし、この表現はベトナムが南シナ海問題で中国を批判する際に使うものでもあります。

 チン首相は4月18日にベトナムを訪問した米投資ファンド、ウォーバーグ・ピンカスのジェフリー・パールマン氏最高経営責任者(CEO)に会った席上、「米国とはベトナムが他国と結んだ関係とは異なる『独特のつながり(unique bond)』がある」とし、「関税引き下げと米国製品の輸入増を通じて持続可能でバランスの取れた貿易関係を形成する」と述べました。この会談には米国のマーク・ナッパー駐ベトナム大使も同席していたそうです。

 ベトナム商工省は4月15日、中国製品のベトナムへのう回輸出を取り締まるための指針を発表しました。米国がベトナムに要求してきた事項の一つです。中国商務省は4月21日、「中国の利益を犠牲にして(米国と)合意に達するようなことがあれば容認しない」として不快感を示した。

 米軍事専門誌「1945」は4月22日、アメリカの元官僚と防衛業界の関係者の話として、ベトナムが米国製のF–16戦闘機を購入することで米政府と合意したと報じました。ベトナム政府は最新機種のF–16Vの購入を希望していて、少なくとも24機以上を購入する見通しとされます。

 ベトナムは伝統的にロシア製の武器を使用してきて、スホーイ35やスホーイ22などを保有しています。それをF-16Vと入れ替えようとする構想です。香港紙サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)は「70年続いたロシアとベトナムの防衛協力を事実上終わらせるものだ」とし、「今回の措置は中国の怒りを買う恐れがある」と指摘しました。ベトナムは関税爆弾を回避するため、使えるカードを全て切ろうとしています。

2025/05/08 07:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/05/03/2025050380012.html

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