台湾・中国に「シエシエ」日本に「カムサハむニダ」 共に民主・李在明候補、厳しい東アジア情勢を甘く見ると大変なことになる【5月15日付社説】

投稿者: | 2025年5月15日

 共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)大統領候補は13日の遊説で「(私が昨年)中国にシエシエ(謝謝=ありがとう)、台湾にもシエシエと言い、他の国とも仲良くすればよい、台湾と中国がけんかしようがそれがわれわれと何の関係があるのかと述べた。私は間違ったことを言ったか?」と発言した。李在明候補は昨年3月「中国と台湾の国内問題がどうなろうと、こちらに何の関係があるのか」「われわれはただ豊かに過ごせばよいのではないか」との考えを示し多くの批判を受けたが、今もその考え方は間違っていないというのだ。李在明候補は「日本の大使にも『シエシエ』と言おうと思ったが、聞き取れなさそうだったので『カムサハむニダ』と言った。間違っていたか?」とも述べた。大統領候補としてあまりに単純で軽薄な発言を繰り返しているようだ。

 李在明候補は「米国はもちろん、中国やロシアとの関係もしっかりと維持し、商品を売る。そうすべきではないのか」とも発言した。当然のことだ。しかし中国・台湾問題は全く性質が異なる。中国が台湾を武力侵攻しないのなら、最初から心配することなどない。しかし実際は台湾はもちろん、米国など国際社会も「中国による台湾侵攻は本当に起こりかねない」として大きな懸念を示している。「ウクライナの次は台湾」という見方もある。今も多くの国力を投入し、恐ろしいほど軍事力を増強している中国がそんなことはしないとなぜ断言できるのか。

 中国が台湾に侵攻した場合、韓半島は直ちにその戦場になる可能性が高い。中国の北海艦隊と東海艦隊が台湾に向かう際の経路が韓国の西海であるため、在韓米軍はこれら艦隊の航行を阻止しようとするはずだ。中国はこのことを理解しているため、まず韓国の群山や烏山の米軍基地に先制攻撃を仕掛けてくるだろう。軍事に詳しい専門家の多くはウォーゲームの中で「中国は台湾を侵攻すると同時に北朝鮮をけしかけ、韓半島に第2戦線を形成する方法で在韓米軍を足止めするだろう」と予想している。にもかかわらず李在明候補は中国にシエシエ、台湾にシエシエと言っただけで、この厳しい状況を乗り切れると本当に考えているのだろうか。まったくもって話にならない論理だ。

 韓国における海上輸送の30%以上は台湾海峡とその周辺を通過する。ある識者は「南シナ海も合わせれば貿易の90%以上がこの周辺を航行する」との見方を示している。昨年ブルームバーグ・エコノミクスは「中国が台湾に侵攻すれば、韓国では2番目に大きな被害が発生するだろう」との予測を提示した。戦争の1年目に台湾は国内総生産(GDP)が40%減少し、韓国も23.3%減少するとの見方だった。このように中国と台湾の情勢は韓国とも直結しているのに、どうやってただ顔を背けて自分たちだけが豊かになれるというのか。

 選挙スタッフに外交・安全保障の専門家を何人も持つはずの李在明候補が本当にこの程度の事情を理解していないとは考えられない。だとすれば国際政治についてよく知らず日々の生活に忙しい庶民に向けて「シエシエ発言のどこが間違っているのか」と強く問いかけることで、今の選挙局面を乗り切ろうと考えているのかもしれない。本当にそうなら幸いだが、しかし彼が大統領になった後、もし本当にシエシエなどと言い続けているようでは、この国は本当に大変なことになるだろう。

2025/05/15 10:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/05/15/2025051580028.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)