今月に入り対ドルのウォン相場が1日平均25ウォン以上変動している。ドル相場を調整する「第2のプラザ合意」が現実になりかねないという警戒感が市場に広がってだ。
韓国銀行によると、1日から16日までのウォン相場変動幅は1日平均25.26ウォンとなった。昨年7月に為替取引が可能な時間が午前2時までに延びてから最大の変動幅だ。取引時間中のうち最高値と最安値の差は4月に米国の関税爆弾の余波で1日平均15ウォン近くまで広がったが、5月に入りその幅がさらに広がった。
為替市場が大きく揺れ動くのは米国と主要貿易国の間で広がっている関税交渉のためだ。1日に台湾が米国と当局者間で初の対話をして台湾ドルの価値が大きく上がった。台湾政府が米国の為替相場圧迫を受け入れるだろうという見方が出てきたためだ。ウォンもともに強気を見せた。翌2日の対ドルのウォン相場の1日変動幅は48.5ウォンを記録した。外国為替取引時間延長後1日基準で最大幅だ。
12日に米中貿易交渉が劇的に妥結しウォン相場の変動幅が33.9ウォンに達した。14日には韓米間の為替協議があったという報道後にウォンが急騰し変動幅31.5ウォンを記録した。16日には取引時間中に1387.90~1428.80ウォンの間を行き来して変動幅が40ウォン以上に広がった。
米国がドル安を誘導するだろうという市場見通しが支配的だ。米国の製造業競争力に役立つためだ。昨年11月にミラン米大統領経済諮問委員長は報告書を通じ「第2のプラザ合意となる『マールアラーゴ合意』を推進できる」と明らかにし、人為的なドル安措置の可能性に燃料を入れ火を付けた。米政府が関税と安全保障を武器にドル安を引き出すかもしれないという診断だ。実際にトランプ大統領就任から100日間でユーロや円など主要6通貨に対するドルの価値を示すドル指数は9%以上下がった。
だが外国為替市場に対する人為的な介入は後遺症を招きかねない。プラザ合意が結ばれた1985年と現在の世界的環境もやはり大きく異なる。新韓銀行のエコノミスト、ペク・ソクヒョン氏は「プラザ合意と同じことをするには欧州と中国が協力しなければならない。欧州との交渉は進展が遅く、中国も為替相場議論は付随的に見るため現時点ではそうした合意を優先順位に置くのは難しい」と話した。
韓米関税協議過程で「ウォン切り下げ」が交渉カードに使われるだろうという見通しも出ている。来月発行される米財務省の為替報告書が照尺だ。韓国、台湾、日本などと関連してどのような内容が載せられるかに視線が集まる。iM証券のパク・サンヒョン研究員は「韓国がすぐに為替操作国に指定される可能性は大きくなさそうだ」としながらも「関税交渉の影響でドル安が激しくなればウォン相場は短期間に1350ウォンまで上がる可能性がある」と予想する。
2025/05/19 09:13
https://japanese.joins.com/JArticle/333903