米上院の米中経済・安全保障審議委員会は2月6日に、「中国製造2025~だれが勝利するだろうか」をテーマに公聴会を開き、中国政府がこの10年間に推進してきた「中国製造2025」政策を評価し、今後の技術競争でどの国が勝利するのかを深く議論した。注目される事実は公聴会で証言した多くの専門家がこのまま行けば米国は中国に勝てないと指摘した点だ。
公聴会のこのような警告は、中国政府が「中国製造2025」政策を発表した2015年を振り返ってみると実に驚くべき変化に違いない。2012年に中国工程院が評価した主要国の製造業水準指数で米国が156、日本が126、ドイツが119、中国が89で、中国の製造業が米国を上回るということは想像しにくいことだった。
しかし2025年に中国の製造業は韓国だけでなく、ドイツや日本を超え米国を脅かす大躍進を成し遂げた。中国事情に精通した香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストによると、中国経済は「中国製造2025」の目標の86%を達成したと評価された。果たして中国はこの10年間でどのようにすでに米国を脅かす製造強国に発展したのか。
◇世界の工業製品の35%生産する中国
中国国務院は2015年5月8日、中国を製造大国から製造強国へと発展させることを目標とする3段階の国家発展戦略「中国製造2025」を発表した。「中国製造2025」推進戦略の核心は政府の主導により「科学技術革新生態系」を作ることであり、国務院の「国家製造強国指導小組」が最上級指導機関、核心戦略推進機関は中国科学院だ。中国科学院は傘下に2つの大学と115の研究所、ベンチャー資本企業と投資会社、資産管理会社など膨大な組織を置いており、2023年には政府の基礎研究開発支出の28%を執行した。
中国科学院が推進した「科学技術革新生態系造成戦略」の第1段階は人材誘致と英才教育で、特に人材誘致専門企業を設立して世界1000大企業に勤める科学人材110万人を選定し「千人計画」など400件の人材誘致プログラムを通じてこの10年間で10万人以上を中国に誘致した。第2段階は研究開発で1800件の先端技術を開発し、第3段階は革新能力を持っている企業2万社を育成することでレノボ(PC)、アイフライテック(AI)、中科曙光(スーパーコンピュータ)、キャンブリコン(AIチップディベロッパー)、竜芯(CPUデザイナー)などが輩出された。第4段階として革新企業が世界的な革新商品を生産する構造だ。
中国政府は巨大な市場を誘引として世界の先端企業を中国企業との合弁投資で誘致する「導入(introducing)」、次に合弁企業を通じて先進技術を習得する「消化(digesting)」、中国企業が先進技術を「吸収(absorbing)」した後、最終的に中国企業が新技術を創出する「再革新(reinnovation)」で世界のトップに挑戦する戦略を推進した。代表的にドイツのフォルクスワーゲンは中国に合弁で進出して13年間にわたり1位を持続したが、2023年にBYDが1位となり、2024年にはBYDが電気自動車市場でテスラを破り世界のトップに上がった。
中国は2023年に世界の工業製品生産の35%(米国は12%)、付加価値基準で29%(米国は16%)、世界の工業製品輸出の20%を占める世界1位の製造大国を超え製造強国に浮上した。1月に世界的な衝撃を与えた中国のスタートアップ、ディープシークの人工知能(AI)モデルの出現は中国国内だけでキャリアを積んだ研究者が成し遂げた成果で中国の科学技術革新生態系発展を代表するものと評価される。
◇中国の電気自動車・バッテリー技術は世界最高
それでは「中国製造2025」で発展した中国の産業競争力はどのような水準に来ているのか。専門機関の評価によると、11大先端産業のうち原子力発電分野は中国が世界最高水準、電気自動車とバッテリーは米国と対等な水準、ロボット、AI、量子コンピュータ、電光板分野は米国に近接、化学、機械装備、生物薬剤、半導体分野はまだ米国水準に達していないと明らかになった。米スタンフォード大学AI研究所が刊行する「AIインデックスリポート2025」によると、チャットボット部門で米国の最上位モデルは中国の最上位モデルに比べて2024年1月には9.2%の優位を示していたが、この格差は2025年2月には1.7%まで縮小した。
2025/05/26 13:01
https://japanese.joins.com/JArticle/334196