韓国で増える「休んでいる」若者【コラム】

投稿者: | 2025年6月12日

 最近の韓国の青年労働市場に見られる特徴の一つは「休んでいる」人の増加だ。統計庁が11日に発表した「5月の雇用動向」によると、20代(20~29歳)の休んでいる人の数は昨年5月には36万6千人だったが、今年5月には37万8千人となり、1万2千人(3.3%)増加している。韓国雇用情報院によると、今年第1四半期現在で20代の休んでいる人の数は約42万人で、2010年以降で最大規模だ。20代人口に占める割合も7.3%で、10年前の2015年第1四半期(4.7%)から2.6ポイント上昇している。この割合が7%を超えたのは今年第1四半期が初めてだ。

 「休んでいる人」とは非経済活動人口、すなわち15歳以上の人のうち、職に就いているわけでも失業しているわけでもない状態にある人で、さらにその中でも調査基準日直前の1週間に家事、育児、学業、病気などの特定の理由もなく働いていないと答えた人のこと。「単に」休んでいる状態であるという点で、積極的に求職活動をしているにもかかわらず仕事が見つからない「失業者」とは区別される。

 韓国銀行は、目線に合う良質の雇用の不足というミスマッチ現象が、若者が自発的に労働市場を離脱する主な要因として作用していると分析している。企業が経験者や随時採用を好んでいることも影響を与えただろうと指摘している。非自発的な休んでいる人の増加は、その他にも景気低迷による職場の休廃業、臨時職の契約終了などの増加と関係しているとしている(韓国銀行、「青年層の休んでいる人の増加の背景と評価」)

 若者が長期にわたって労働市場に参画しないでいると経験が積めなくなり、そのことによってその後の就業機会がよりいっそう制限される恐れがある。まかり間違うと労働市場から永久的に離脱したりニート化したりする懸念もある。「ニート(NEET、Not in Education、Employment or Training)」とは働かず、働く意志もないため教育、雇用、訓練などをいずれも拒否している人のこと。日本では、1990年代後半のバブル経済崩壊の時期に青年層の雇用状況が大きく悪化し、休んでいる人とニートの増加へとつながった。その後の景気回復で若者の失業率は下落したが、青年ニートは労働市場に参画できず、中年ニートとなった。

 専門家たちは、主に失業者や求職者が対象となっている現在の青年雇用政策を拡大し、休んでいる若者も労働市場に誘引する政策を積極的に展開すべきだと主張している。

2025/06/11 17:08
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/53456.html

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