李在明(イ・ジェミョン)大統領と日本の石破茂首相は以前から「非主流の政治家」を自認してきた共通点がある。李在明大統領はかつて自叙伝に「世の中の認識を変えるのは非主流である自分のような人間に許容されている」と記し、石破首相は「ミスター・クレーマー」と呼ばれるほど所属する自民党内でも苦言をためらわなかったことで知られる。
両首脳は今月9日に電話会談を行った。李在明大統領就任後、海外首脳との電話会談は米国に続いて2番目だった。李在明大統領は過去にはあからさまに反日感情をむき出しにしていたが、戒厳令事態直後の昨年末、駐韓日本大使に「個人的には日本への愛着が非常に深い」と語った。また李在明大統領はかつて尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権の対日政策を「低姿勢の屈従外交」とも非難していた。ところがつい先日、「尹前大統領が進めた強制徴用被害賠償の解決策を継続するのか」とのメディアからの質問に「国家間の関係には政策の一貫性が重要だ」の考えを示した。この政策を継続する考えを事実上示した形だ。
このように李在明大統領の態度が突然変わったことについて日本の外交関係者の間からは「選挙に向けたポーズだったに過ぎず、まだ信頼はできない」との声が支配的だという。ただし石破首相はこのような疑念を意に介さず、李在明大統領にラブコールを送っている。李在明大統領当選直後から異例にも当選を祝う声明を発表した。李在明大統領も「日本は重要な協力パートナーだ」としてこれに応じた。
今年は韓日国交回復60周年と同時に日本の敗戦80周年でもある。日本の政権与党である自民党の保守派は、非主流の石破首相が今年8月に歴史における日本の「過ち」を認める発言をしないか神経をとがらせているという。しかしそうなれば韓国の外交関係者にとってこれ以上のうれしい知らせはない。日本の政界事情を考えると、石破首相が最大限の「努力」を示すのであれば、両首脳による良好な関係も間違いなく期待できそうだ。
1998年に当時の金大中(キム・デジュン)政権と日本の小渕恵三内閣は歴史に対する日本の反省が込められた「金大中-小渕宣言」を発表した。日本は「痛切に反省し謝罪する」とし、韓国は「未来志向的な関係」という大義に基づきこれを喜んで受け入れた。それから27年が過ぎた今、両国は米国のトランプ政権が掲げる「アメリカ・ファースト」や、中国やロシアなど大国が挑発を仕掛けてくる中で、これまで以上に同盟関係が重要な時を迎えている。国交回復60周年から今後100年を念頭に未来の新たな外交フレームが必要な時を迎えているのだ。
「金大中-小渕宣言」は韓国の進歩(革新系)政権と日本の保守である自民党が政権を握る時期に実現したが、今の状況もこれとよく似ている。今年8月に光復(日本の敗戦)80周年を迎え、石破首相が歴史を直視する発言を行い、李在明大統領がこれを受け入れたらどうなるだろうか。「非主流」である両首脳によるシナジー(相乗作用)効果があればこそ、過去の政治では実現できなかった前例のない韓日関係を構築できるだろう。サプライチェーンや技術開発面での協力を通じた経済共同体の構築に加え、公演や芸術ビザの条件緩和による民間交流の拡大なども期待できるはずだ。「金大中-小渕宣言」に匹敵する「李在明-石破宣言」も決して不可能ではない。
金東炫(キム・ドンヒョン)記者
2025/06/14 07:00
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