韓国の李在明(イ・ジェミョン)政府が危機に陥った石油化学産業の構造調整に本格的に乗り出した。引継委員会格である国政企画委員会は19日、産業通商資源部から関連の内容を含んだ業務報告を受けた。最近与党が「石化(石油化学)特別法」を発議し、大企業が「ビッグディール」を推進するなど石油化学分野での構造調整が本格化する雰囲気だ。
構造調整の環境は熟した。中国発の供給過剰に加えてグローバル需要鈍化が3年以上続いた不況の「常数」に、最近のイスラエル-イラン紛争に伴う国際原油価格不安が突発変数として浮上した。三逸(サミル)PwC経営研究院は先月公表した報告書「K-石油化学、生存と成長戦略」で「政府主導の実行力ある構造調整対策が必要な時点」と診断した。李氏も選挙過程で「石油化学産業を含む限界産業の構造転換を国家次元で支援する」と公約した。
ちょうど与党が政策を後押しする「石油化学産業の競争力強化および支援に関する特別法案」を11日に発議したところだ。共に民主党の朱哲鉉(チュ・チョルヒョン)議員が代表発議した該当の法案は▷事業再編のための合併、分割、設備縮小、研究開発(R&D)への税制支援▷老朽設備の解体、R&Dおよび設備投資への補助金▷電気料金の減免あるいは補助▷生産施設の新・増設、改善、閉鎖などの手続き簡素化▷環境規制特例▷企業間の生産量縮小、設備稼動率の調整など協議時の公正取引法適用例外▷政府主導の事業再編–などの内容を盛り込んだ。匿名を求めた国内石油化学業界の役員は「特定の大企業特恵論争につながる可能性がある」としつつも「業界の要求事項を広く盛り込むなど、構造調整の大きな方向性をうまく示している」と評価した。
企業自らも構造調整の真っ最中だ。ロッテケミカルとHD現代ケミカルは忠清南道(チュンチョンナムド)の大山(テサン)石油化学団地のナフサ分解設備(NCC)の統合を推進している。供給過剰に伴う共倒れを避けるために自律構造調整の話し合いを始めたという意味がある。LG化学は全羅南道麗水(チョルラナムド・ヨス)のNCC第2工場の株式売却を推進中だ。13日には10年以上かけて大きくしてきた「最も重要な」水処理事業部門を私募ファンドに渡すと明らかにした。現代(ヒョンデ)自動車証券のカン・ドンジン研究員は「設備構造調整を通した投資合理化および財務構造改善を始めたことは肯定的だが、効果が可視化するまでには時間がかかるだろう」と予想した。
石油化学は典型的な煙突産業だ。大規模な設備投資と専門人材が必要で、一度崩壊すれば回復が非常に難しい。半導体・二次電池のような先端産業ではないが、鉄鋼のように国民経済や国家安保に及ぼす影響力が大きい。民間で十分に対応できない場合、政府が構造調整の舵取りをしなければならない理由だ。三逸PwC経営研究院のキム・スンチョル首席研究委員は「1970年代以降、政府次元で石油化学構造調整を粘り強く推進し、汎用製品の生産を減らして高付加価値製品に誘導した日本の事例から学ばなくてはならない」と話した。
これに先立ち、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府が昨年12月に概略的な石油化学産業競争力向上案を発表した。今年上半期に後続対策を発表しようとしていたが中断され、バトンを渡された李在明政府が対策を発表する展望だ。西江(ソガン)大学化学科のイ・ドクファン名誉教授は「政府が主導しても、実際には市場の自律を誘導する形で微妙な『バランス点』を見つける政策が成功のカギ」としながら「構造調整が官製の『交通整理』ではないことから、規制の鎖から取り払わなければならない」とし「国家戦略資産を確保する観点かあらアプローチしなければならない」と強調した。
2025/06/20 08:17
https://japanese.joins.com/JArticle/335264