トランプ米大統領が9日、ブラジルなど8カ国に関税を通知する書簡を送った。前日に韓国と日本をはじめとする14カ国に続き2日連続の一方的通知だ。
目に付くのはブラジルに50%の関税を課した点だ。4月の10%に比べ5倍も高まり、フィリピンやブルネイなど残りの7カ国が既存の関税率から微調整水準の変化を経て20~30%の関税が通知されたのとは大きな違いが生じた。
◇関税を「武器」に他国の政治に介入
トランプ大統領はこの日、ブラジルのルラ大統領に送った書簡で50%の関税を通知し、「同等な競争環境を作るために」という経済的理由とともに、「現政権の深刻な不正を正すために」という政治的目的を合わせて明示した。
トランプ大統領は続けて「ブラジルのボルソナロ前大統領に対するやり方は国際的不名誉。魔女狩りはただちに終えなければならない」と書いた。ボルソナロ前大統領は「ブラジルのトランプ」と呼ばれた親トランプ派だ。2022年の大統領選挙で敗れた後、大統領選挙の結果を覆すためのクーデターを謀議した容疑などで裁判を受けている。トランプ大統領もやはり2020年の大統領選挙結果を覆そうとした容疑で起訴された前歴がある。
CNNは「関税を他国の政治に介入する手段にできるということを見せた」と批判した。トランプ大統領は貿易赤字などを関税の根拠にしたが、ブラジルはむしろ対米貿易で昨年68億ドルの赤字を記録した。
◇中国密着のBRICS核心国に懲罰関税
ルラ大統領はすぐに報復措置を示唆した。一部ではトランプ大統領の懲罰的関税に対し「中国との本格交渉を控えて反米親中戦線を崩そうとする意図」との見方も出ている。
BRICSは中国、ロシア、ブラジル、インドの非西側新興経済国連合で、トランプ政権の政策批判を先導してきた。ブラジルはこの日、ブラジルを横断しペルーのチャンカイ港をつなぐ超大型鉄道事業に対する覚書を中国と締結するなど対中協力を強化している。中国資本に建設されたチャンカイ港は米国が「中国軍の橋頭堡」という懸念を示した所だ。
中国はBRICSを中心に人民元を基軸通貨にする「脱ドル」ネットワーク構築の可能性を模索している。トランプ大統領は「脱ドルは世界大戦。BRICS加盟国というだけで10%の追加関税が課されるだろう」と警告した状態だ。
◇日本の選挙に合わせ財務長官派遣…「対中戦争」の事前布石か
こうした中、トランプ大統領はこの日ベッセント財務長官率いる使節団を19日に大阪・関西万博に派遣すると明らかにした。訪日名目はこの日万博会場で開かれる「米国の日」行事への出席だ。しかし関税交渉を担当するベッセント長官が南アフリカで開かれる主要20カ国(G20)財務相会議の日程を急きょキャンセルしながら文化行事に参加するのには別の理由があるとの見方が出ている。
2025/07/10 17:14
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