来月1日から賦課予定の米国の関税を緩和するためには、各国が「トランプを満足させる」戦略を悩む必要があるという指摘が出ている。
これは、今年4月に発表された相互関税措置以降確認されてきたように、ドナルド・トランプ大統領の“場当たり的”関税政策が、経済的効果よりも米国内の政治目的で利用されているという分析が広がっているためだ。実際に、トランプ大統領に目に見える成果物を提供する代わりに、実利を得た事例も出てきている。
◇「20%対0%」の完敗と引き換えに「賭け」に出たベトナム
外交消息筋は14日(現地時間)、中央日報に「英国とともに関税交渉を終えたベトナムは、米国に対して20%の関税を課されることを受け入れ、米国製品に対しては0%の関税を適用するという屈辱的な条件を受け入れた」とし、「トランプ大統領はこれを“完全勝利”として広報しているが、果たしてどちらが得をしているのかは分からない」と語った。
ベトナムは4月に46%の関税を通告されていた。20%は従来の半分以下である。25%の関税通知を受けた韓国や日本、さらには30%のEUよりも低い。
ベトナムにとって20%の関税も負担ではあるが、輸出国にとって関税はあくまでも相対的な概念だ。トランプ大統領は無関税の結果として「米国産のスポーツ用多目的車(SUV)や大排気量車両がベトナムに輸出されるだろう」という期待を示したが、いまだオートバイなどが主力のベトナムの自動車市場で高価な米国製大型車が急激に売れるかどうかは未知数だ。
◇「ベトナムの真の成果は“市場経済地位”」
通商の専門家は、ベトナムが得た本当の成果は他にある可能性があると指摘する。
ベトナム共産党のトー・ラム書記長は、米国との関税交渉を終えた後、自国メディアに対し「ベトナムの市場経済地位(MES)の認定と、一部の先端技術製品に対する輸出制限の解除を提案した」と述べ、これを関税合意の核心的成果として強調した。
匿名を希望した通商当局関係者は、「米国は明確な回答をしていないが、交渉の過程でベトナムの市場経済地位の格上げについて事実上の事前合意がなされた可能性がある」とし、「もしトランプ大統領がこれを受け入れたなら、ベトナムは“損のない商売”をした可能性がある」と語った。
ベトナムは中国、ロシア、北朝鮮など12カ国と共に「非市場経済国(NME)」に分類されている。自国の市場価格を操作している国家と見なされているため、米国はベトナムに対し、国内価格ではなく国際標準価格を基準とした数百%に上る懲罰的な反ダンピング関税を課してきた。もし市場経済地位を得れば、ベトナムは対米輸出品に対する反ダンピング関税を大幅に引き下げる実利を得ることになる。
◇ミャンマー、40%関税でも「トランプに感謝」
米国から40%という高率の関税を通告されたミャンマーも、トランプ大統領にむしろ感謝の書簡を送った。トランプ大統領からの関税通告が、正統性のなかったミャンマー軍事政権を「公式な統治勢力」として初めて認める契機となったためだ。
ミャンマーのクーデター軍部の指導者であるミン・アウン・フライン最高司令官は、トランプ大統領の書簡を受け取った直後にそれを公開し、「米国がミャンマーを独立国家として承認したことに対し、心から感謝(sincerely thank you)する」と述べた。さらに「2020年の米国大統領選の際、あなた(トランプ)が経験した困難と同様、我々も深刻な選挙不正と多くの不正行為を経験した」と述べ、トランプ大統領に共感を示す一場面もあった。
ミャンマー軍部は、2020年11月の総選挙でアウン・サン・スー・チー国家顧問の国民民主連盟(NLD)が圧勝すると、これを「不正選挙」と断じ、翌年2月にクーデターを起こして政権を掌握した。米国はこれまで軍政を合法政府と認めず、公式な接触も避けてきた。
2025/07/16 07:46
https://japanese.joins.com/JArticle/336305