「日本は4000億ドル出すのに…」 米国、通商交渉の場で韓国に大規模投資ファンド設立を要求

投稿者: | 2025年7月16日

 米国が韓国政府に対し、自国の製造業再建を後押しするための大規模投資ファンドの設立を要求していることが15日までに分かった。韓国企業が米国に工場を新設・増設したり現地企業に投資したりする際に財源として活用できる「製造業協力強化ファンド」を、韓国政府の主導で作れというのだ。これは、米国政府が要求してきた牛肉とコメを含む農畜産物市場の追加開放、グーグルに対する精密地図持ち出し許可などといった貿易障壁緩和とは全く別次元の要求だ。

 15日の本紙の取材を総合すると、米国政府は今月初めにワシントンで行われた韓米関税交渉で、こうしたファンド立ち上げ案を要求した。米国は、日本が対米関税交渉の過程で提案した「対米投資ファンド」設立案に言及したと伝えられている。日本が提案したファンドの規模は4000億ドル(現在のレートで約60兆円。以下同じ)水準だという。韓国と日本は同程度の対米黒字を出していることから、韓国に対しても同一の規模のファンド設立を要求したという。

 米国のドナルド・トランプ大統領が今月7日、日本・韓国などに対して「来月1日から25%の相互関税をかける」という最後通告を行って交渉を押し付ける中、大統領が国内向けに掲げることのできる確実な成果物を韓国政府に新たに要求してきたものと解されている。

 相互関税がかけられる8月1日までわずか半月に迫る中、今年の国家予算の8割を超える天文学的規模のファンド設立を要求された韓国政府は、ファンドの財源準備案を巡って苦心している。先に韓国政府内から「米国のハワード・ラトニック商務長官が韓国に受け入れがたい提案をして、交渉が先に進まない」という声が出たのも、米国のこうした要求のせいだと解されている。

■ファンドを作って…韓国のカネで製造業を育成したいトランプ

 米国政府の製造業強化ファンド設立要求は、7月7日および10日の2度にわたってワシントンで開かれた韓米両国の高官級通商交渉で初めて言及されたことが分かった。当時、ラトニック商務長官と2度会談した産業通商資源部(省に相当。以下同じ)の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長は、交渉後に「両国の製造業協力強化案を深く話し合った」と明かした。ある政府関係者は「韓国政府は、相互関税と自動車関税をできる限り抑えるために、農産物などさまざまな非関税障壁の緩和アイデアを準備した。だがラトニック長官はファンド設立案にこだわったという」と語った。

■通商トップ会談で議論

 呂翰九本部長は7月14日、交渉の現況についての記者懇談会で「造船・半導体・バッテリーなどの企業が米国に投資して米国製の先端機器を購入するのは、米国が望んでいる両国の製造業協力と密接な関係がある」とし「投資や購入は民間企業が判断する領域だが、韓国政府も後ろからこれを促進する『プラットフォーム』を構築して補助する役割に焦点を合わせている」と語った。この発言は、米国が要求するファンド設立を示唆するものと解されている。さらに呂本部長は「単に『関税を〇%下げる』という方式の交渉よりも、米国の製造業再建を助けつつ韓国企業の(対米進出を通した)新たな成長動力を確保するポジティブ・サム(Positive-sum)の交渉ができる」とも語った。韓国政府主導で立ち上げたファンドで韓国企業の米国進出を支援し、製造業協力を引き出して関税引き下げを推進したい―という意味だとの解釈が出ている。

2025/07/16 11:04
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/07/16/2025071680066.html

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