次世代炭素中立燃料として注目されている「アンモニア船舶」の受注競争が熱い。貨物倉技術を備えた日本はアンモニア運搬船に、安い価格で船舶を建造する中国はアンモニア推進船に集中している。売り上げの柱である液化天然ガス(LNG)運搬船の発注が今年に入り途絶えている韓国も次世代船舶開発にスピードを出さなければならないという指摘が出ている。
業界によると日本の佐々木造船は最近総合商社の伊藤忠商事からアンモニアバンカリング船(燃料供給船)を世界で初めて受注した。海上で他の船にアンモニアを供給する船舶だ。アンモニアは燃焼する際に炭素を排出せず、液化水素よりエネルギー密度が1.5倍高いという長所がある。親環境アンモニア1トン当たりの価格は574ドル(約8万4850円)で天然ガスより50~90ドルほど高い。韓国エネルギー技術研究院は今後アンモニア生産単価が低くなり運搬船とバンカリング船の需要が増えると予想する。
アンモニア運搬船は高い技術力が必要だ。貨物倉が氷点下33度の液化温度を維持しアンモニアの毒性に耐えなければならないためだ。日本はこの技術障壁を超えるために造船会社と海運会社が力を合わせた。三菱造船と名村造船所は海運会社の商船三井とともにアンモニア輸送船の共同開発に乗り出した。
中国は比較的難易度が低いアンモニア推進船の開発に集中している。コンテナ船やばら積み船など中国が安く生産できる汎用船舶にアンモニアエンジンを搭載するものだ。中国製汎用船舶の価格は韓国で建造した船舶より20%以上安く、この強みを生かした戦略だ。中国船舶グループ(CSSC)は昨年ばら積み船、コンテナ船、タンカーの3船種で世界初のアンモニア推進船をそれぞれ受注した。
LNG運搬船に力を入れてきた韓国の造船業界は尻に火が付いた。LNG運搬船は韓国の造船業界で商船売り上げの約50%を占める船種だが、上半期の世界発注量は8隻にすぎなかった。前年同期の65隻と比べ87.7%減った。2018年にカタール政府が100隻を超えるLNG運搬船を注文したのをはじめ昨年まで世界のLNG運搬船の船腹量は年平均7.1%増加した。昨年の世界のLNG運搬船船腹量は1億2160万立方メートルで10年前より102.4%増加した。業界は供給過剰で追加注文が途絶えたとみている。
韓国の造船会社はガス運搬船貨物倉技術を生かしてアンモニア運搬船開発に乗り出している。アンモニア液化温度はLNG液化点の氷点下162度より高い。LNG貨物倉を製作してきた韓国の造船業界がアンモニア運搬船技術でもリードしていると評価されている。HD韓国造船海洋は昨年アンモニア運搬船2隻を3396億ウォンに受注したし、ハンファオーシャンも昨年2隻を3312億ウォンに受注した。
中国が狙うアンモニア推進船も取り逃せない市場だ。国際エネルギー機関(IEA)は世界の船舶市場でアンモニア推進船の割合が2030年の8%から2050年には46%に増加するだろうと予想した。韓国輸出入銀行のヤン・ジョンソ首席研究員は「汎用船舶市場で韓国が中国より安い船を作ることはできないが、より品質の良い船は作ることができる。いま開発している親環境エンジンの燃費効率差を広げなければならない」と話した。
2025/07/17 08:17
https://japanese.joins.com/JArticle/336374