「在韓米軍は中国けん制目的へ」 70年続いた安全保障の枠組みが変わる【7月26日付社説】 

投稿者: | 2025年7月26日

 在韓米軍の役割を再検討する「同盟の現代化」に向け韓国と米国が協議を開始した。米国務省が24日に明らかにした。米国務省は韓国メディアに送付した声明で「今回の協議は韓半島における米軍と韓国軍の役割と責任の再調整がゴール」とした上で「今後同盟は変化する安全保障環境に必ず適応しなければならない」との考えを示した。米国は外交ルートを通じて韓国政府に対し、在韓米軍を現在の北朝鮮抑止戦力から中国に対応する戦力に変化させることを提案しているという。韓半島に限定されていた韓米相互防衛条約の範囲をインド太平洋に拡大することを要求しているのだ。

 その背景には中国の脅威がある。米国は今年3月末に公開した「国家安全保障戦略(NSS)」暫定版で中国による台湾侵攻阻止を最優先の課題と明記した。来月公表見通しのNSS正式版にはこれに備えるための米軍再編方針も記載される見通しだ。中国が台湾を侵攻して米国と交戦し、在韓米軍がこれに参戦した場合、韓国がこれを止める手立てはない。しかも米国はさらに踏み込んで韓国軍も米軍と共に中国の侵略に対抗することを要求するかもしれない。6・25(韓国戦争)当時、米軍が韓国のために血を流したから、今度は韓国が米国のために血を流せということだ。韓米相互防衛条約にはこれも明記されている。

 米国のトランプ政権はすでに日本、オーストラリア、フィリピンに対し、中国が台湾を侵攻した場合は米国に貢献することを求めており、3カ国はこれに同意する可能性が高い。米日はすでに西海、東シナ海、南シナ海を一つの戦区とする方向でも検討を進めている。

 米国が在韓米軍を北朝鮮抑止から中国に対抗する戦力に変更した場合、これは70年以上にわたり続いた韓国の安全保障を支える基本的な枠組みが変わることを意味し、韓米同盟は完全に新たな局面を迎えることになる。ただし、もし李在明(イ・ジェミョン)政権が米国の要求に応じない場合、両国の同盟関係は根本から揺らぐだろう。韓国国民が米国と共に中国に対抗して戦う意志があるかどうかも分からない。韓米同盟が揺らいでしまえば、その影響が韓国の経済や社会全般にまで及ぶのは間違いない。

 トランプ政権は米国、日本、オーストラリア、フィリピンからなる西太平洋対中戦線に韓国が参加するかどうかを見極め、李在明政権が仲間かそうでないかを判断するはずだ。これは今後の通商交渉や安全保障交渉全体に影響するだろう。今最も重要かつ求められることは韓米首脳間の信頼関係だが、現状では完全に欠如した状態だ。まずは李在明大統領を「親中」とみなす米国の疑念を早急に払拭させねばならない。今は内政ではなく外交安全保障に全力を傾けるべき時だ。

2025/07/26 10:20
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/07/26/2025072680029.html

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