米国が予告した「相互関税25%」の発効日(8月1日)までわずか5日に迫っているが、韓米通商トップ会合は、米国の欧州連合(EU)と中国との交渉に押され、関税課税の直前になるものとみられる。差し迫る時間との戦いで最善の結果を引き出す必要のある韓国政府は、財務・通商・外交チャネルを総動員し、終盤の総力戦を繰り広げる予定だ。
27日の関係省庁によると、ク・ユンチョル副首相兼企画財政部長官は31日(現地時間)、米国ワシントンD.C.で米国のスコット・ベッセント財務長官に会い、通商交渉を進める予定だ。これに先立ち、25日に予定されていた「2プラス2通商協議」は、米国側から「日程衝突」があるとして、前日に突然延期となった。その後、米国が27日にEU、28~29日に中国の交渉チームと会うことになり、韓国については、相互関税発効直前にク副首相とベッセント長官の直接交渉に変わった。
関税課税のデッドラインの前日に米国と交渉しなければならない韓国政府は、米国現地での交渉を進めているキム・ジョングァン産業通商資源部長官とヨ・ハング通商交渉本部長の交渉状況について、リアルタイムで報告を受け、31日の財務首長間の会談で終盤の妥結を目標にしている。特に米国が日本との関税交渉を妥結して以降、韓国との協議日程を一方的に延期したことをめぐり、韓国が準備した協議案に対する不満を迂回的に示したのではないかという見方が出てきており、韓国政府の戦略修正が不可避となった状況だ。これについて大統領室は25~26日、2日連続で政策・安全保障ラインを集め、対応案を議論し、韓米交渉品目に農産物を加え、造船分野で交渉の突破口を探す案を具体化した。
韓国政府はこれまで、国内世論が敏感で農業に強い影響を与える可能性のあるコメと牛肉を交渉品目から除外するために努力してきたが、交渉期間が迫るにつれ、米国はますます圧力の度合いを強めている。ドナルド・トランプ大統領は最近、オーストラリアも米国産牛肉を輸入することになり、「オーストラリアに非常に多くの牛肉を販売するだろう」としたうえで、「米国のすばらしい牛肉を拒否するその他の国々は『通告』を受けた」として、牛肉輸入を制限する国に圧力をかけた。
韓国政府はこのほかにも、対米投資や安全保障分野などでも追加で出せる対案に苦心している。これに先立ち日本が、5500億ドル(約80兆円)の対米投資を約束したことを考慮して、韓国政府は、当初米国に提示しようとしていた1000億ドル(約15兆円)の対米投資の規模を引き上げる案も検討している。
チョ・ヒョン外交部長官も今週訪米し、31日にマルコ・ルビオ国務長官兼国家安全保障補佐官と韓国の国防費増額などについて議論する会合を調整中だ。安全保障交渉をテコに、停滞する通商交渉を打開しようとする構えだ。
米国の関税措置が現実化すれば、輸出を主力とする製造業への打撃が拡大し、ただでさえ不振の経済に大きな悪影響を及ぼす恐れがある。対外経済政策研究院(KIEP)は、米国の関税政策がそのまま強行される場合、韓国経済が安定を回復するとしても、実質国内総生産(GDP)が0.3~0.4パーセント減少する可能性があると予想した。
2025/07/27 22:42
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/53852.html