就任2カ月で慰安婦寄付金横領犯・タクシー運転手暴行犯を恩赦する李在明大統領【8月12日付社説】

投稿者: | 2025年8月12日

 李在明(イ・ジェミョン)大統領は11日、曺国(チョ・グク)元韓国法務部(省に相当)長官や尹美香(ユン・ミヒャン)元議員ら与党系の政界関係者などへの大規模恩赦を断行した。歴代大統領による任期中最初の恩赦は主に民生問題での受刑者が大半だったが、李在明大統領は就任から2カ月で多くの政界関係者への恩赦を行った。ただし中には到底納得し難い人物も含まれている。

 曺国元長官夫妻による入試不正は厳しい学歴競争が続く韓国社会では典型的な不公正かつ不義な行為と認識されている。しかも曺国元長官は自らの一連の不正行為に反省や謝罪などは一切せず、その言動は自分が政治犯とでも考えているかのようだ。

 さらにひどいのは尹美香(ユン・ミヒャン)元議員だ。尹美香元議員は日本軍慰安婦被害者女性らへの寄付金を横領した容疑で大法院(最高裁判所に相当)で有罪が確定した。しかも尹美香元議員への恩赦が他でもない、光復節に行われるのは何かの不条理劇場を目の当たりにしているようだ。

 また恩赦対象者リストには意外な人物の名前もあった。収賄などの容疑で懲役2年の実刑判決を受けた殷秀美(ウン・スミ)元城南市長だ。殷秀美元市長は地元暴力団との関係でも大きな問題となった人物だ。李容九(イ・ヨング)元法務部次官は現職だった時にタクシー運転手を暴行し、その証拠を隠滅したとして有罪となった人物だ。他でもない法務部の次官がこんな下劣な犯行をするとはあきれてものが言えない。こんな人物が恩赦となれば法の権威は地に落ちてしまうだろう。

 また解職教師を不当に採用した容疑で有罪が確定したチョ・ヒヨン元ソウル市教育監も恩赦対象者リストに入った。将来を担う若者の教育を担当する責任者が不法行為で有罪となったが、チョ・ヒヨン元教育監は恥じ入るような態度は一切見せず、今回赦免されればさらに堂々と振る舞うだろう。韓国大統領府と法務部はこれらの人物まで赦免した理由については一切説明していない。我関せずで問題を起こし、事態が収まるのを静観するつもりのようだ。

 李在明大統領は今回の恩赦について「国民統合という時代の要求に見合ったものだ」と自画自賛しているが、贈収賄やタクシー運転手暴行、教師の不当採用は国民統合とは何の関係もない。李在明大統領が今回恩赦に踏み切ったのは彼らからの大統領選挙借金請求書を支払うためだろう。曺国元長官をはじめ恩赦対象となった政治家はその多くが文在寅(ムン・ジェイン)元大統領に近い人物であり、尹美香元議員には左翼系市民団体、チョ・ヒヨン元教育監には全教組というバックが控えている。

 野党も今回の恩赦を背後から後押しした。野党・国民の力の宋彦錫(ソン・オンソク)非常対策委員長は収賄・横領・背任などで有罪が確定した野党系の政治家への恩赦を求め、それが聞き入れられた。この意味のないリストを見れば嘆かわしいばかりだ。野党代表ではなく個人的に陳情したと疑わざるを得ない。

 恩赦に対する大統領の権限は法律の執行を無力化する。そのため恩赦は必要最低限にすべきであり、国民の大多数が納得できるものでなければならない。そう考えると今回の恩赦はあまりに不適切で度が過ぎたものだ。

2025/08/12 10:40
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/08/12/2025081280058.html

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