米国、中ロけん制「多領域部隊司令部」を日本に設置【独自】

投稿者: | 2025年8月19日

 米国が、インド・太平洋地域で中国・ロシアけん制の中心的役割を果たす多領域部隊(MDTF)の司令部を日本に創設すると15日に伝えられた。中ロは米国よりも先に極超音速ミサイルを実戦配備し、中国は現在300基以上の軍事衛星を運用しており、宇宙発射極超音速兵器も開発している。MDTFは、中国・ロシアがこうした各種先端技術を利用して米国の軍事力展開を阻止する可能性に備えて、2017年から米陸軍が配備している新概念の部隊だ。陸海空と宇宙・サイバー・電子戦など多領域で敵の動向を探知し、状況を把握し、同時多発的かつ全方位的な打撃を加えることを目標にしている。

 米国はMDTF司令部の一つを日本に置き、韓国にはMDTFを構成する大隊の一つであるマルチドメイン効果大隊(MDEB)の一つを配置する案を検討している。韓国に配置されるMDEBは日本に置かれる司令部の「目と耳」の役割を果たす可能性が高い。韓国軍消息筋は「米国は2001年から日本をインド・太平洋地域の戦力投射根拠地として活用し、在韓米軍は域内有事の際に限定的な戦力の海外投射を行うという案を考慮してきたが、これが具体化されている」と語った。

 マルチドメイン効果大隊は偵察衛星・宇宙センサー・無人機・超水平線レーダーなど多様な経路を用いて敵の動向を探知し、これを軍事情報・信号情報と統合して戦区の状況を判断する。これを利用して電波妨害・干渉、サイバー攻撃、心理戦などの極秘攻撃も行う。しかし、これだけで敵を物理的に攻撃したり、敵の攻撃を防いだりすることはできない。このため、旅団級のMDTF内には長距離精密打撃ミサイル大隊・砲兵大隊・防空大隊などが編入される。

 米議会調査局(CRS)の「多領域部隊報告書」によると、米インド太平洋軍(INDOPACOM)隷下の太平洋陸軍は、インド・太平洋地域で日本とハワイにそれぞれ司令部(コマンド)を新設する計画を推進している。米軍はMDTFを計5隊作り、このうち3隊をインド・太平洋地域で運用する計画だ。報告書は、2027年創設予定の4番目のMDTFが日本の司令部の指揮を受けることになる見込みだと明かした。

 MDTFは、ロシアがウクライナに侵攻し、中国の台湾侵攻の可能性が台頭する中で、重要性がさらに浮き彫りになっている。米本土から遠く離れた場所で戦争が起きたとき、中国・ロシアは長距離ミサイルや電子戦などあらゆる手段を動員して米軍が戦地に到着できないように妨害し、占領を「既成事実化」しようとする可能性が高い。米軍は各地にMDTFを配置し、有事の際には輸送機で戦地に速やかに投入してこうした状況を防ごうとしている。

ザビエル・ブランソン在韓米軍司令官は今月8日、インタビューで「韓半島の変化する脅威への対応に必要な任務を遂行する新たな能力について考えている」「特に、マルチドメイン効果大隊の配置を考慮している」と語った。日本に司令部を置くということに比べれば、小さな役割を引き受けるということだ。韓国軍消息筋は「在韓米軍の役割は縮小し、在日米軍の役割は増やしていくという延長線上にある」と語った。

ヤン・ジホ記者

2025/08/19 11:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/08/18/2025081880007.html

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