韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領と米国のドナルド・トランプ大統領との25日(現地時間)の初の首脳会談を前に、韓米間の詰めの異見調整が難航しているという観測が繰り返し出ている。
特に21日に趙顯(チョ・ヒョン)外交部長官が米国へ急派されたことに続き、24日には姜勲植(カン・フンシク)大統領秘書室長まで訪米の途についた。大統領の外遊に際し、秘書室長・安保室長・政策室長という「3室長」全員が大統領室を留守にすること自体が極めて異例だ。特に姜室長は出国前に記者団に対して「一人でも多く会い、一言でも多く説得できるのであれば当然行くべき」と述べ、両国間に意見の相違があることを示唆した。
首脳会談直前まで両国の見解の違いが完全に埋まらないまま、「リアリティショー」形式の会談を続けてきたトランプ大統領との首脳会談で、突発的要求が調整されないまま露呈する可能性があるという懸念が出ている。
◇「曖昧な方がいい」と言っていたのに…「3500億ドル」の用途に具体案?
今回の会談で欠かせない議題は貿易だ。その中で韓米が急きょ詰めの調整を行うことになったことについて、韓国政府が相互関税交渉の過程で約束した3500億ドル(約51兆円)の対米投資について、米側が具体的な計画を首脳会談を通じて文書化するよう要求しているという観測もある。
7月31日、トランプ大統領は自身のSNSに「韓国が提示した3500億ドルは米国が所有し統制する(owned and controlled)投資だ」と明らかにし、ハワード・ラトニック米商務長官も「3500億ドルの収益の90%は米国人に戻る」という「90%ルール」を相次いで明らかにした。該当投資が事実上、米国に「無条件で供与する資金」という意味だ。
これに対して金容範(キム・ヨンボム)大統領室政策室長はこれまで「(実際の投資額は)誰も知らないし、曖昧なほうがよい」と曖昧さを前面に出した楽観論を展開してきた。ところが首脳会談を目前に控え、金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官が米国へ直行したのに続き、李大統領の日本日程に同行する予定だった趙顯外交長官まで急きょ訪米することになった。趙長官はとりわけ急な日程だったため、ワシントンへの直行便ではなく経由便を選択した。
これに関連し、外交消息筋は「趙長官の急な訪米は、首脳会談の共同発表内容の文言に対する最終調整が必要だという米側の要求によって行われた」としながらも、具体的な内容については口を閉ざした。ただし首脳会談直前に発表文の調整を急ぐ背景について「米国側の意思決定構造がトランプ大統領に集中している」と説明した。首脳会談直前に発表文に関して事前報告を受けたトランプ大統領が、対米投資額などに関する具体的実行計画を要求した可能性があるという解釈だ。
◇最終調整で露呈した「安保請求書」
特に韓米外交トップの会談直後に出た米国側の反応にも注目が集まる。米国務省は22日、趙長官とマルコ・ルビオ国務長官との会談直後、「インド太平洋地域での抑止力を強化し、共同負担分担を拡大する方策について議論した」と発表した。韓米同盟については「米国製造業の再活性化に寄与し、貿易関係の公正性と互恵性を回復する未来志向的な議題について議論した」と説明を加えた。
「インド太平洋地域の抑止力拡張」とは「同盟の現代化」という名目で在韓米軍の役割を韓半島(朝鮮半島)の外にまで拡張する戦略的柔軟性と関連しており、そこには在韓米軍縮小の可能性も含まれている。また「分担拡大」は、今回の会談で防衛費分担金を大幅に引き上げることを要求する狙いがあるとみられる。
これに関連し、ワシントン・ポスト(WP)は、関税交渉の過程で米国は韓国に対して国内総生産(GDP)比で3.8%(2004年年基準2.6%)まで国防費を増額し、10億ドル以上にもなる在韓米軍駐留費分担金の増額を要求しようとしたと報じた。国務省が外相会談直後に発表した声明で、安保を貿易の公正性問題と同じ項目として言及したのは、今回の会談で経済と安保を連携させるという意志を反映したものと解釈される。
保守系シンクタンク「米国企業公共政策研究所(AEI)」のシニアフェロー、ジャック・クーパー氏は、韓米経済研究所(KEI)との対談で「ソウルはこれらの問題が管理可能だという自信を見せてきたが、私は(これよりも)もう少し悲観的」と述べ、これまでの韓国の楽観論に懸念を示した。
2025/08/25 08:38
https://japanese.joins.com/JArticle/337925