米日で分かれた金利政策のシグナル…506兆円の時限爆弾に火が付くか

投稿者: | 2025年8月26日

借りた日本円を返すために米ドル資産を売却する「円キャリートレード」巻き戻しの懸念が再び頭を上げている。米国と日本の通貨政策のシグナルが分かれてだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は22日のジャクソンホールでの演説で、市場の予想を破り政策金利引き下げの可能性を開いておいた。彼は「雇用市場の下方リスクが大きくなれば急激な解雇と失業率上昇につながりかねない」と話した。物価上昇より雇用鈍化リスクに重点を置いたものだ。シカゴ商品取引所(CME)のFEDウォッチによると、FRBが来月政策金利を0.25%引き下げる確率は25日午後3時30分基準で87.3%に達する。FRBが引き下げに出れば、今年トランプ大統領就任後初めての利下げとなる。

 これに対し日本銀行の植田和男総裁はジャクソンホールで、利上げの方向性を示した。植田総裁が「賃金上昇圧力が大企業を超え中小企業にまで広がっている」として利上げに向けた条件を備えたという見方を示してだ。

米国と日本の分かれる通貨政策シグナルに円キャリートレード巻き戻しの懸念が再点火した。事実上ゼロ金利だった日本で円を借りてドルに換え米国金融資産に投資した円キャリートレードの条件が悪くなっているからだ。

米国と日本の10年物国債利回りの格差が狭まったのが代表的だ。利回りの差が減れば円を借りてドル資産に投資する誘引が弱くなる。日本の10年物国債利回りは22日に1.616%と今年に入り0.497%上がった。リーマンショック直後の2008年5月以降で最も高い。米国の10年物国債利回りは年初に年4.8%目前まで上昇したが今月22日には年4.258%に下がった。その結果、今年初めに3.5%以上広がった米国と日本との国債利回り格差は2.6%台に狭まった。

「ドル安と円高」が伴う点も円キャリートレード解消の懸念を刺激する。為替損失を防ごうとする投資家がドル資産を売却して現金を確保し、借りた円の償還に出る恐れがあるためだ。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、円とユーロなど主要6カ国通貨に対するドルの価値を示すドル指数は22日に97.92で今月初めの99.14より1.2%下落した。来月の利下げの可能性が反映されてだ。これに対し円相場は今年初めの1ドル=158円台から今月22日には146円台まで上がった。

市場で懸念するのは解消規模だ。韓国銀行は昨年8月の「円キャリートレード収益率変化と清算可能規模推定」と題する報告書で、昨年3月末基準で円キャリー資金残高を506兆6000億円と推定した。韓国銀行はこのうち6.5%に当たる32兆7000億円を巻き戻し可能な規模と試算した。フランス銀行ソシエテ・ジェネラルのエコノミスト、アルバート・エドワーズ氏は「米国金融市場は日本資金で膨らんだ。日本の投資家が資金を本国に回収すれば米国金融市場が波打つかもしれない」と警告した。

だが円キャリートレード解消の可能性は大きくないとみる専門家も多い。新韓銀行のエコノミスト、ペク・ソクヒョン氏は「米国が依然として4%台の高金利の上に投資家はすでに円高にもベッティングしており、過度にドル資産を売って円を買おうとする動きは大きくないだろう」と予想した。

一方、対ドルのウォン相場は25日のソウル外国為替市場で前営業日より8.5ウォンのウォン高ドル安となる1ドル=1384.70ウォンで取引を終えた。

2025/08/26 08:52
https://japanese.joins.com/JArticle/337980

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