先月25日に米ホワイトハウスで開かれた韓米首脳会談で、トランプ大統領はあいさつを終えるとすぐ造船業の話から切り出した。「韓国は船をとてもよく作る。韓国が米国に造船所を建て、米国の人材と一緒に船を作るようにするだろう」とした。「再び米国造船業を生かす道」とも強調した。米国が造船業再建をどれだけ急ぎと考えているのかを見せる場面だった。
トランプ大統領はだれよりも韓国造船業の底力をよくわかっている。1998年に慶尚南道巨済(キョンサンナムド・コジェ)の大宇(デウ)造船海洋玉浦(オクポ)造船所を訪れて高さ100メートルの巨大クレーンに上がり複数の大型船舶を同時に建造する様子を見て「ワンダフル」と叫んだという。
米国造船業再建のパートナーになった韓国造船は官民の挑戦精神がともに育てた成果と評価される。朴正熙(パク・チョンヒ)政権時期に経済首席秘書官として造船業の中長期発展計画を立てた申東湜(シン・ドンシク)韓国海事技術会長はその種をまいた人物に選ばれる。彼が1960年代に造船強国だった米国で学んだ先進技術と産業育成計画を基に1973年に巨済島に玉浦造船所が着工された。
ほぼ同じ時期に蔚山(ウルサン)では現代グループの鄭周永(チョン・ジュヨン)会長が民間造船所建設に参入した。亀甲船が描かれた500ウォン札を示して英バークレイズ銀行に借款を要請した彼は、同時に造船所の敷地写真と図面だけでギリシャから超大型タンカー2隻を受注した。いずれも前例のない挑戦だった。
以降韓国造船は「スピード」と「価格」を武器に造船先進国を相次いで追い抜いた。早い納期のためにそれまでの方式を打ち破りひとつのドックで複数の船舶を建造する方式を導入し日本と差別化した。1973年に船舶受注シェア1.3%だった韓国が1983年には19.2%まで規模を拡大し、結局その年現代重工業は日本の三菱重工業を抜いて単一造船所基準で世界1位になった。韓国は1993年に世界市場の46.4%を占め造船世界一になった。
その後中国企業の物量追撃により、韓国の造船企業は高付加価値船舶であるガス船の開発に集中している。米フィリー造船所を運営するハンファグループは韓米首脳会談直後の先月27日、ハンファ海運を通じて液化天然ガス(LNG)運搬船1隻をフィリー造船所に発注した。米国の造船所を復活させ高付加価値船舶も建造できるようにするという意志の表現だった。現在760隻のLNG運搬船のうち70%が韓国製の船で、この市場で1位だ。
ただLNG運搬船の核心は気体を超高圧・超低温で液化し安全に運ぶ貨物倉だが、フランスのGTTが基本技術を持っており、船舶価格の5%をロイヤルティーとして支払わなくてはならない。これに対し韓国政府は8月に韓国独自の貨物倉技術(KC-2)の開発を支援すると発表した。造船業界関係者は「多くの船で実証されたGTTの技術力に追いつくには政府が保証して発注し、レコードを積んで認められる経験が必須」と話した。
砕氷LNG運搬船市場が大きくなる点も韓国には機会だ。米国はアラスカLNG開発事業にスピードを出しているが、LNG運搬船とアラスカの氷を破砕できる砕氷船発注の可能性が大きくて韓国の造船業界には機会という分析が出ている。HD現代は1日、LNG運搬船内の貨物倉運営状況を人工知能(AI)で管理する技術を開発し実証すると明らかにした。2016年に世界初の砕氷LNG運搬船を進水したハンファオーシャンは、世界最多の21隻の受注実績を持っている。サムスン重工業もロシアに砕氷タンカー5隻を引き渡した経歴がある。
2025/09/02 10:13
https://japanese.joins.com/JArticle/338251