米中対立と関税戦争に…韓国政府、4年ぶりにTPP加入を再検討

投稿者: | 2025年9月4日

韓国政府が2021年以降事実上議論が中断されている環太平洋連携協定(TPP)加入を再検討することにした。

具潤哲(ク・ユンチョル)副首相兼企画財政部長官の主宰で3日に開かれ経済閣僚会議と産業競争力強化関係閣僚会議で政府は「似た立場を持つ国同士の経済同盟ネットワークを確保するためTPP加入を検討する」と明らかにした。

 TPPは2018年3月に始まった多国間自由貿易協定(FTA)だ。現在日本をはじめオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、メキシコ、ベトナムなどが参加しており、昨年12月には英国が加入した。世界銀行によると、TPPは世界4位規模のFTAで、加入国の国内総生産(GDP)合計は世界のGDPの約14%に達する。

韓国は2021年に当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新年辞を通じてTPP加入検討の意思を初めて明らかにし、国際経済戦略の核心課題のひとつと宣言した。同年12月には洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相が「TPP加入に対する社会的議論を始める」と発表した。翌年には正式加入申請に近い段階まで議論されたが、農漁民の反発と国会報告不発などを理由に正式申請には至っていなかった。その後尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権も加入を推進したがこれといった成果はなかった。

今年の第2次トランプ政権発足とともに米中対立深化と関税を通じた保護主義強化などのため財界と学界を中心にTPP加入を促す声が大きくなった。李在明(イ・ジェミョン)大統領は先月の韓日首脳会談に先立ち日本メディアとのインタビューで「東アジアを含む太平洋沿岸諸国の経済協力機構構成を議論しなければならない」との考えを示した。

韓国がTPP加入を再検討することにしたのは、これを通じた経済的効果が大きいためだ。対外経済政策研究院は韓国がTPPに加入すれば国内総生産(GDP)が0.38ポイント増加する効果が得られると分析した。韓国はTPP加入国のうち日本とメキシコとはまだFTAを締結しておらず、加入すれば輸出市場が拡大する効果も得られる。合わせて最近欧州連合(EU)もTPP加入に大きな関心を見せており、実現すれば国際舞台でTPPの位置付けはさらに高くなる。

韓国政府が正式にTPP加入の必要性を言及しただけに関連議論はスピードを出す見通しだ。産業通商資源部関係者は「トランプ政権の関税政策が本格化しTPPの戦略的価値はさらに重要になった。2021年と違い状況が急変しており、現時点で最も国益につながる側面から加入を戦略的に検討していく」と説明した。

ただ今後韓国政府がTPP加入を正式に申し込む段階まで進むには市場開放にともなう利害関係者説得、国会報告など国内手続きを終えなければならない。新規TPP加入は既存の加入国の満場一致方式で決定されるが、影響力が強い日本との協議なども変数だ。

高麗(コリョ)大学国際学部のカン・ムンソン教授は「タイミングを逃したりはしたが、政府がいまからでもTPP加入を検討するのは肯定的。すでに韓国はTPP加入国の大部分とFTAを結んでおり、日本とも地域的な包括的経済連携協定(RCEP)を通じて市場を一定部分開放しているだけにこれに対する韓国国内の利害関係者の反発は大きくないかもしれない」と説明した。

2025/09/04 08:21
https://japanese.joins.com/JArticle/338342

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