【独自】「北朝鮮、2019年の米軍侵入事件後、大々的にスパイ摘発」

投稿者: | 2025年9月10日

 米海軍特殊部隊が第1次トランプ政権時代の2019年、ハノイでの朝米首脳会談を控え、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を盗聴しようと侵入し、失敗した後、北朝鮮当局が大々的にスパイ摘発作戦を展開したことが分かった。北朝鮮当局は当時、米国の「ヒューミント」(人間を情報源とし、対人コミュニケーションを通じて情報を収集するインテリジェンス活動)のネットワークを摘発し、関係者を大規模に処罰したという。

 米海軍特殊部隊(NAVY SEALs)はハノイでの朝米首脳会談を控えた2019年初め、金正恩委員長を盗聴する装置を設置するため、北朝鮮の海岸に侵入したが、北朝鮮の漁船に見つかりそうになり、北朝鮮の漁民を射殺して撤収したと、ニューヨーク・タイムズが5日(現地時間)付で報道した。この事件直後の2019年2月末、ベトナムのハノイで北朝鮮の金正恩国務委員長と米国のドナルド・トランプ大統領の首脳会談が開かれたが、非核化範囲などをめぐる隔たりを埋められず、会談は「ノーディール(物別れ)」に終わった。

 当時の状況に詳しい高位情報消息筋は9日、ハンギョレに「2019年米国の浸透失敗事件とハノイ朝米首脳会談の『ノーディール』以後、北朝鮮が大々的に米国スパイ摘発を行い、多くの人々が米国のスパイとして検挙され処罰された」と話した。この消息筋は「今回報道された米国特殊部隊の盗聴装備設置の試みだけでなく、はるかに深刻なことも多かったと聞いている」とし、「当時、北朝鮮当局の検挙作戦で米国が北朝鮮内に構築した『ヒューミント』のネットワークが大きな打撃を受けた」と付け加えた。

 ニューヨーク・タイムズの報道で6年ぶりに今回の事件が知られたことで、朝米対話はさらに難しくなるとみられている。特に北朝鮮に直接浸透して金正恩委員長を盗聴しようとする作戦が、大統領の承認なしには進められることは難しいため、トランプ大統領の「裏切り」に対する金委員長の失望が大きいという分析もある。トランプ大統領は今回の報道に対する記者団の質問に「私は何も知らない。初めて聞く話だ」と答えた。

 しかし、北朝鮮がこの事件が起きた直後、米国のスパイ浸透の深刻さを認識してスパイ摘発を行ったという点、そして金正恩委員長が最近の中国戦勝節80周年記念軍事パレードで、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領と並んで立ち、「大国外交」戦略を駆使しているという点で、今回の事件報道が金委員長の朝米会談再開戦略に大きな影響を及ぼさないという見方もある。

 国家安保戦略研究院のキム・ソンベ院長は「2019年、米国の盗聴の試みとハノイ・ノーディールで、金正恩委員長が米国に対し非常の深い不信感を抱いたとしても、すでに過去の事であり、金委員長は現在、有利な情勢のもと、本格的に『大国外交』に乗り出しているという点に注目しなければならない」と語った。キム院長は「過去には北朝鮮が中国または韓国を通じて米国と外交をした後、ロシアとも関係を設定しようとしたが、現在はロシアと密着した後、中国との関係を改善し、その後に米国と談判してから、日本や韓国との関係を考える方向に進んでいる」とし、「ロシアと中国、米国を全て相手にしながら、主導権を確保している金委員長の大国外交に注目すべきであり、韓国も独自の大国外交でこの局面を乗り越えなければならない」と提案した。

2025/09/09 21:14
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/54191.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)