「混沌の国際秩序の中で韓日協力は時代的要求だ。信頼と持続性を基礎に戦略的パートナー関係を構築しなければいけない」。
「韓日2030ビジョングループ」の韓国側座長を務める申珏秀(シン・ガクス)元駐日大使と日本側座長の北岡伸一東京大名誉教授は11日、ソウルと東京を画像でつないで行った対談で「複合危機の時代に自由主義国際秩序の受恵者である韓国・日本が協力し、国際的な任務を果たさなければいけない」と強調した。
韓日の専門家各10人が出席した2030ビジョングループは1年半の協業を通して、韓日国交正常化60周年を迎えて急変する国際情勢の中、両国間の協力の方向と未来のビジョンを反映した報告書を18日に公開する。9分野・48件の提言は拡大抑止協力、韓日自由貿易協定(FTA)締結、韓国の環太平洋経済連携協定(CPTPP)加入など実質的な内容だ。「3月1日の独立宣言日に日本政府代表がパゴダ公園の独立宣言記念塔を訪問し、献花と黙祷で敬意を表する」という提案も含まれた。
対談の司会は日本側幹事の西野純也慶応大教授が務めた。韓国側幹事のチェ・ウンミ峨山政策研究院研究委員も同席した。以下は対談の要旨。
–韓日の過去60年の歩みをどう評価するか。
申珏秀=韓日関係は過去60年間、何度も危機を迎えたが、全般的に右上がりの発展経路をたどってきた。ただ、2012年から2022年まで「失われた10年」の関係悪化の後遺症が残っている。60年は成熟の時期である「耳順」に該当するだけに、健全で安定した韓日関係が東アジアと世界のアンカー(anchor)の役割をしなければいけない。
北岡=1945年の解放から1965年の日韓基本条約締結まで20年かかった。韓国は戦争、開発独裁、民主化、経済成長を経て日本にも影響を与えた。2000年代半ばに国連代表部に勤務しながら、両国の立場の80%は一致するという事実を実感した。対立する20%ばかりが浮き彫りになれば何も残らない。
–国際情勢が混乱している。
北岡=戦後の国際社会を率いた2つの原則は「武力でない平和的な解決志向」と「自由貿易」だ。日韓両国はこの原則で最も大きな恩恵を受けた。しかしロシアのウクライナ侵攻と関税を事実上武力として使用するトランプ政権の政策などでこうした原則が揺らいでいる。
申珏秀=東アジア戦略環境悪化の要因は自由主義国際秩序の基盤弱化、米国の同盟政策の変化、東アジアの脅威の深化の3つがある。北朝鮮の核の高度化、中国の攻勢的外交・安保政策、朝中ロ連帯の強化がすべて脅威の要因だ。韓日がポスト脱冷戦時代の混沌と多重危機に対応し、さらに手を取り合うべき時だ。
–「韓日2030ビジョングループ」の報告書のタイトルを「戦略的パートナーシップの構築」としたが。
申珏秀=韓日戦略的パートナーシップは両国関係を越えて地域と世界の平和と繁栄に極めて重要な軸といえる。これを適時に構築できなければ後悔することになる。トランプ発の関税戦争で韓国、日本、欧州連合(EU)などは各個撃破されている。これは韓日関係の「失われた10年」の機会費用という考えもある。
北岡=トランプ大統領のように「自国優先主義」をしながら生き残れる国は中国・ロシア・インドほどだ。日韓などそのほかの国には多国間協力だけが安定を確保できる道だ。日韓関係を土台に東南アジアの国家を引き込んでオーストラリアまで共にする西太平洋連合を提案する。
–韓日関係が進むべき方向は。
申珏秀=隣接国間で避けられないさまざまな葛藤要因にも揺らぐことのない安定的な関係を構築しなければいけない。そして協力の重点が2国間・過去・中央・中高年層・政府から多国間・未来・地方・青年・民間に広がらなければいけない。最後に歴史の和解と信頼の蓄積は必須だ。
北岡=米国を中心とする「ハブ・アンド・スポーク(hub and spoke)」同盟体制から抜け出し、日韓が直接協力するシステムに変えていかなければならない。
2025/09/18 08:07
https://japanese.joins.com/JArticle/338816