中国政府が14日、韓国大手造船会社「ハンファオーシャン」の米国子会社5社をターゲットに制裁措置を取ると発表した。米中貿易戦争に再び火がついている中、慶尚北道慶州市でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議開催(10月31日-11月1日)を前に、中国が米国に対して取った報復措置で韓国企業が被害を受けたということだ。中国の今回の制裁により、「MASGA(Make American Shipbuilding Great Again=米国の造船業を再び偉大に)プロジェクト」の韓米造船協力にも歯止めがかかる可能性が浮上している。
中国商務省は14日、「反外国制裁法」に根拠に、ハンファオーシャンの米国子会社5社を制裁リストに掲載し、これらの法人が中国組織・個人と取引したり、協力したりできないようにしたと発表した。制裁対象はハンファシッピングをはじめ、今年8月に李在明(イ・ジェミョン)大統領が訪問した米ペンシルベニア州フィラデルフィアのハンファフィリー造船所、ハンファオーシャンUSAインターナショナル、ハンファシッピングホールディングス、HS USAホールディングスだ。
制裁の理由については、「米国が中国の海事・物流・造船業などの分野を狙って取った米通商法301条の調査措置に反撃するためだ」と説明、「ハンファオーシャンの米国子会社は米国政府が中国を狙った調査に協力して支持を送った。中国はこれに対して強い不満と決然とした反対意思を表明する」と述べている。
米国は今年4月に発表した米通商法301条調査最終措置を適用し、中国企業が所有あるいは運航している船舶、中国国籍の船舶に対して港湾サービス料金を14日から賦課している。 トランプ政権が中国の造船・海運産業をけん制し、米国の造船を奨励するための措置を打ち出したものと解釈されている。米通商法301条は「不公正な貿易慣行に対する報復」を規定しており、米国が交易相手国に対して広範囲に報復を行使する根拠として使われる。
中国による今回の制裁は、慶州での米中首脳会談を前に、両国の貿易戦争が再び火がついた中で取られた。今月10日、中国は米国に対してレアアース(希土類)の規制を大幅に強化し、米国は中国に対する100%の追加関税で対抗した。両国が首脳同士の会談を前に強硬な姿勢でぶつかり合う中、その戦場が海運業や造船業へと広がり、韓国にも飛び火したものだ。
韓国と米国の造船業における協力にも歯止めがかかる可能性が高まっている。ハンファは昨年、米国のフィリー造船所を買収した後、韓米造船協力の象徴である「MASGAプロジェクト」の中心に浮上した。中国官営の英字紙グローバル・タイムズは今年8月、「米国は造船業の再活性化に集中し、ますます韓国と日本を自国の防衛産業に統合したがっているようだ」と、露骨に警戒心を見せている。
北京=李伐チャン(イ・ボルチャン)特派員
2025/10/15 09:40
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/10/15/2025101580022.html