「Cコマース(中国eコマース)空襲」に韓国政府が軽率な対策を出して混乱だけをあおった格好となった。19日、おもちゃ・電子製品など一部品目の海外直接購入(以下「直購」、日本で言う個人輸入のこと)の事前遮断方針を「撤回する」としながらだ。国家統合認証マーク(KC)がない80品目の直購を禁止すると明らかにしてから3日後のことだ。結局、韓国政府は発がん性物質など危害性が確認された製品に対してのみ制限をかけると明らかにした。
◇「直購禁止」から3日で“白紙”に
19日、国務調整室の李政垣(イ・ジョンウォン)第2次長は海外直購対策関連の会見を開き、「国民の皆さまを混乱させてしまい非常に申し訳ない」とし「80品目の直購を事前に全面禁止・遮断するというのは事実ではない」と明らかにした。続いて国家技術標準院の金庠摸(キム・サンモ)製品安全政策局長は「KC認証が唯一の方法ではないので今後多様な意見の取りまとめを経て慎重に検討する」と話した。KC認証は国内安全認証で、直購を除いて韓国で正式に販売する製品は必ずこの認証を受けなければならない。
政府は16日の発表の時ですら、子ども・電気・生活用品などに対して「KC認証を受けなかった場合、直購を禁止する」と表明していた。それから3日後に再び会見を開いて「混乱があった」と言葉を変えたのだ。当初、政府はKC認証を受けていない一部品目の直購禁止を法制化しようとした。このような方針を原点から検討する。来月以降、危害性モニタリングの結果にしたがって、遮断方針を廃止するか、一部品目に対する禁止を再び推進するか議論する。KC認証ではない他の基準を提示する可能性もある。
◇一部オンラインコミュニティなどで「現代版鎖国政策」批判
政府が退いたのは消費者が反発したうえに規制の実効性に関する論争まで起こったためだ。16日の政府発表以降、週末にかけて「消費者の選択権を侵害している」という指摘が相次いだ。特に子ども製品に関連しては育児関連のオンラインコミュニティ、いわゆるマムカフェを中心に議論が熱く交わされた。ネイバー(NAVER)のあるマムカフェには「服は何が危険なのか」「興宣(フンソン)大院君でもないのに勝手に外国の物品(直購を)閉ざしてしまうなんて」のような掲示物がこの2日間で数十件投稿された。
これに先立ち、政府が発表した未認証禁止品目には電線・ケーブルなど電子製品も含まれていることから、電子機器マニア層やフィギュア・BB弾銃を収集する「キダルト族」まで敏感に反応した。彼らは「海外から安く買うことができる部品を国内で何倍も高い値段で買うことになった」とし、不満を表出した。
政界でも一段と厳しい批判が出てきた。与党「国民の力」元非常対策委員長の韓東勲(ハン・ドンフン)氏はSNSを通じて「個人の海外直購時にKC認証の義務化は消費者の選択権を過度に制限するので再考するべきだ」とし「過度な規制になるだろう」と指摘した。
◇消費者安全問題、逆差別問題は依然と
当初韓国政府が対策準備に出たのには理由がある。海外オンラインプラットフォームを通じて中国製の超格安品が流れ込み、国内流通業者はもちろん中小製造業者まで打撃を受けたためだだ。国内流通業者との逆差別論争も大きくなった。現行法上、国内企業は中国製品を輸入して販売するためにはKC認証を受けなければならない。認証に1品目当たり数十~数百万ウォンのコストがかかるため、KC認証が必要のない海外直購商品と価格競争が不可能だという指摘が業界から出た。製品の安全問題、模造品の氾濫、個人情報流出に対する懸念も日毎に大きくなった。
だが、政府が中途半端な対策を出した後にすぐ撤回し、新たな論争が続く予定だ。当初政府は「国民の安全が深刻に侵害される」と規制理由を明らかにしたが、結局危害性物質モニタリングを強化すること以外はこれに対する実質的な代案を出すことができなかった。危害性が検証されれば直購を遮断するとしたが、これは今も行っている措置だ。すでに危害商品を購入した被害者が出てきた後でしか対応することができない。
政府関係者は「関係部署と協議し、従来のモニタリングを強化する予定だ。危害性検査は続けてはいた」とし「安全に関して問題が見つかった製品は、該当製品に対して直購を禁止し、その製品関連の品目全体を禁止するわけではない」と述べた。政府は危害性を発見した場合、遮断する措置の他に追加で安全性を強化する方案を用意するとしたが、KC認証事態で論争となった状況で追加対策を出すまでには相当期間かかる見通しだ。
2024/05/20 07:47
https://japanese.joins.com/JArticle/318807