韓国大統領室のキム・ヨンボム政策室長とキム・ジョングァン産業通商部長官が22日、関税交渉の後続協議を行うため、米国に向けて出国した。二人はわずか2~3日で再び出国の途についた。慶州(キョンジュ)でのアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を機として29日に行われる予定となっている韓米首脳会談までに交渉を進展させるため、両国の当局者が急いでいるとみられる。キム室長は出国直前、取材陣に「(両国の間には)まだいくつかの鋭く対立する分野がある」と語った。
米国に関税を引き下げてもらう見返りとして韓国が約束した3500億ドル規模の投資ファンドの運用をめぐり、両国は3カ月近く綱引きを続けている。米国はこのかん、3500億ドルをすべて現金で、トランプ大統領の任期内に、トランプ大統領が決定する投資先に投資することを要求してきた。
これらは、米国の保守的な経済新聞であるウォール・ストリート・ジャーナルさえ疑問を呈するほどの無理な要求だ。同紙は21日(現地時間)の社説で、韓国と日本(5500億ドル)の対米投資ファンドの問題点を指摘した。まず、投資金額が大きすぎるため、実現の可能性は低いようにみえると指摘。韓国が3500億ドルを第2次トランプ政権の残りの3年間で分割投資すると、毎年の国内総生産(GDP)の6.5%に当たり、いったい「どこでその金を手に入れるのか」ということだ。また「この投資は全面的に米国政府、すなわちトランプ大統領と彼の側近たちの裁量で決定される政府対政府の投資」だとして、「これは誤用や腐敗につながりうる。ラトニック商務長官とベッセント財務長官は、大統領と共和党の政治的仲間の営む事業に投資しろという途方もない政治的圧力を受けるだろう」と指摘した。
ウォール・ストリート・ジャーナルの言う通り、3500億ドルは韓国のGDPの20%にのぼる莫大な金額だ。韓国の外国為替市場や財政には手に負えない。規模そのものの縮小が最善だが、難しければせめて現金投資の割合をできる限り低くするとともに、投資期間も長くすべきだ。投資リスクはほとんど韓国が抱え込むだけに、投資先の決定にも韓国側の意見が反映されなければならない。政府はこのような決定的な争点において、期限に追われて後退してはならない。国益に致命的な合意を性急に結ぶよりも手ぶらで首脳会談をおこなった方がましだという明確な態度が、交渉団には必要だ。
2025/10/22 18:08
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